瀬戸内寂聴が99歳で2021年11月9日亡くなりました。 瀬戸内寂聴を語るとき、その背後の男性は生涯を通して見え隠れします。 幼い娘を婚家において若い男性と逃げたことから瀬戸内晴美の小説家としての人生は始まり、それを背負って生きてきた小説家という位置をいつもわたしは感じていました。 この小説は、瀬戸内寂聴が、愛した井上光晴、その妻(作者にとっては母)との関係を娘である、井上荒野が小説というかたちをとって書いた物です。 したがって、作者の創作であるという事実の上で読むべきだと思います。 『あちらにいる鬼』の ...