スポンサーリンク


広告 本・読書感想・映画

『豊饒の海(4)』「天人五衰」三島由紀夫著

「天人五衰」は『豊穣の海』の最終章で、この集の原稿を収めた後割腹自決をします。

1970年(昭和45年)11月25日、三島は陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地内東部方面総監部の総監室を森田必勝ら楯の会会員4名と共に訪れ、面談中に突如、益田兼利総監を人質にして籠城すると、バルコニーから檄文を撒き、自衛隊の決起を促す演説をした直後に割腹自決した。45歳没。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

『豊饒の海(4)』「天人五衰」のあらすじと感想

梨枝が亡くなり三日にあげず会っていた本多と慶子の友情も安永透を養子にしたことで壊れてしまいます。

死が近づいたとと感じた本多は聡子に会いに行きます。

「天人五衰」は老いが主題であり、終章のすべてが無になるような聡子との出会いが印象的です。

『豊饒の海(4)』「天人五衰」のあらすじ

本多繁邦は76歳になっています。

妻の梨枝はすでに亡くなり、1人で旅をすることが多くなっていた本多が三保の松原を訪れた時に、16歳の安永透が勤めている帝国信号通信社の前を通りかかりました。

梨枝は久松慶子が同性愛者であることを知ってか、本多のことをよくよく頼んで亡くなったので、三日にあげず会っていて、梨枝が行きたがらなかった海外旅行も一緒に行くことが多くなっていました。

慶子から三保の松原に行きたいという話があり、この前は見ただけだった帝国信号通信社で安永透に出会うことになります。

慶子に促され、本多は帝国信号通信社の仕事場を訪ねてみようと思って案内を請うと、安永透のところに、来ていた失恋により頭がおかしくなり、自分を苦しめていた鏡を破壊して絶世の美人となった絹江と擦れちがいます。

そこで本多は自分の裏返しのように悪の芽を育てている少年に会ったのです。

その少年、安永透には腋窩に三つのほくろありました。

ホテルに帰リ、清彰の日記のこと輪廻転生のことを話し、安永透を養子にしたいと慶子に言います。

今日見た少年の自意識は今までの3人からは見なかったもので、内面は本多の内面とうり二つだったことは慶子には言いませんでした。

安永透を養子に迎え、家庭教師をつけ本多もテーブルマナーや常識を教え、望みの高校に入りました。

18歳の透に財産目当ての縁談が舞い込み、透は本多の思うようなやり方で相手を傷つけ破談にするのです。

その透が東大に入ってからは本多に暴力を振るうようになっていたのです。

その心労により神宮外苑でのぞき見をしてしまい、直後殺傷事件が起きた時、近くにいた本多は逮捕されてしまいます。

本多を精神耗弱者とし、準禁治産者にし財産を乗っ取ろうと企んだ透は、犬猿の仲の弁護士を頼み、実権を奪おうとしました。

見かねた慶子は透をクリスマスの晩餐会に招待すると偽って招き、本多が透を養子にしたいきさつを話し、20歳のうちに死ななければ偽物になると告げます。

松枝清彰の夢日記に書いてあると教わった透は本多からそれを借り、それを読んだあと服毒をし救急車で運ばれ、命はとりとめますが失明してしまいます。

呼び寄せていた絹江以外とは話もしなくなり、翌年の20歳の誕生日が来ても死ぬ気配はなく、家政婦は絹江が身ごもったようだと言います。

本多が準禁治産者になるのは免れたが、本多の死後透が準禁治産者になってしまうのです。

本多は聡子に会うために月修寺を訪れ、清彰の話をするが「松枝さんという人は知りませんなぁ」と言われてしまい、門跡と会っていることも夢のように思われてしまいます。

庭に降り立った本多は記憶もなければ何もないところに、来てしまったと思います。

『豊饒の海(4)』「天人五衰」感想

この最終稿を届けた後に、三島は陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に行き、割腹自決をすることになるので、この小説は死ぬ覚悟の上に書かれていたようですが、私にはその精神性を今になっても理解することができません。

とはいえ、三島由紀夫の小説を私は遠ざけていましたが、今になって読むことになりその文学としての高さを知ることになりました。

有名な『金閣寺』なども読もうと思ったことはありましたが、読まずに来たことが不思議なことで、この先少しずつ読むことになるだろうと思っています。

若い三島由紀夫が、ノーベル文学賞の候補になったと言うことは、世界的に認められた文学者だったことになります。

三島由紀夫という文学者を生んだことは日本の歴史の中で大きなことだったろうと思うと共に不朽の作品は世界文学の中に何時までも残るのだろうと思いました。

関連記事(一部広告を含む)

お越しいただきありがとうございます。不備な点、疑問点、間違いなどありましたらお手数でもお問合せよりお知らせ頂ければ嬉しく存じます。


スポンサーリンク

-本・読書感想・映画
-