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『あちらにいる鬼』井上荒野著

瀬戸内寂聴が99歳で2021年11月9日亡くなりました。

瀬戸内寂聴を語るとき、その背後の男性は生涯を通して見え隠れします。

幼い娘を婚家において若い男性と逃げたことから瀬戸内晴美の小説家としての人生は始まり、それを背負って生きてきた小説家という位置をいつもわたしは感じていました。

この小説は、瀬戸内寂聴が、愛した井上光晴、その妻(作者にとっては母)との関係を娘である、井上荒野が小説というかたちをとって書いた物です。

したがって、作者の創作であるという事実の上で読むべきだと思います。

『あちらにいる鬼』のあらすじと感想

この小説は2019年2月7日に発行されているので、瀬戸内寂聴さんは読んでいるだろうし、「何でも聞いてくれ」といろいろ話してくれて、書くことを薦めてくれたと言うことのようです。

文庫本も発行され、映画化も決まったようですが、それらをみることもはかなわなかったようです。

わたしは、井上光晴の小説も読んだ記憶がないし、瀬戸内寂光さんの本も数冊しか読んでいませんが、それらは殆ど愛を扱った小説のような気がしますが、詳しいことは覚えていません。

そのようなことから、井上光晴と著者の関係もあまり知りませんし、今回娘である井上荒野さんの小説を読んだことで、2人の関係を小説というかたちではあれ、初めて知ることになりました。

『あちらにいる鬼』のあらすじ

長内みはるが白木篤郎、岸光太郎と徳島で講演をすることになり、編集者と一緒に白木篤郎と一緒の飛行機にのるっことになりました。

岸光太郎は新幹線で後からくると言うことで、隣に座った白木篤郎のおしゃべりに付き合い、人形師に会うことにしていたが、そこにも白木がついてきてくれて、人形師との間の話が弾みました。

それが最初の出会いでしたが、その時にすでに雷に打たれたように美晴は恋に落ちてしまったようでした。

白木篤郎 と言う小説家はそれまでにも何人もと浮気をしていたようだが、奥さんには隠さなかったようで、奥さんはどのように許していたのか平然としていたようです。

作者である 井上荒野 が5歳の時に みはるとの関係は始まったようだが、一番長く続いた相手のようで、それらを清算しようと考えていたのが同じような時期だったようで、白木は家を建て、みはるは出家することに決めたのでした。

その後も友人として、2人は付き合い、家庭にも招かれて、家族ぐるみのお付き合いになったようです。

白木は癌になり肝臓、肺にと転移を繰返し亡くなった後も奥さんの笙子さんとはと会うこともあったが、奥さんも亡くなってしまいます。

笙子 は白木が亡くくなった後、肝臓癌から膵臓癌になり、7年間家に置いていたという白木のお骨をみはるが住職になった岩手県の天仙寺の墓に納めることにし、自分のもそこに眠ることになりました。

白木の娘は最初の作品で賞をとった後あまり書きませんでしたが、その後かなり書くようになり、いろいろな賞をとるようになりました。

この小説は娘が瀬戸内寂聴に何度も何度も取材を行い書いた物だと言うが、父母の心の内は想像の域を出ないだろうから、父母と重なって見える誰かを書いているのだろうが、それが冷静に肉親を見ることに繋がっているのだろうと思いました。

そして、不倫相手である寂聴との関係も情に溺れることもなく書いていることに感心しました。

『あちらにいる鬼』の 感想

瀬戸内寂聴という作家は、自分に正直に生きた人だと思います。

そして、恋愛の中でいつかは区切りをつかなければならないと言うときに、潔く体は別れ、心の深いところで誰にも分からない気持ちで白木を愛し続けたのだろうと思います。

そして、相手の井上光晴という男性も、最愛の妻を持ちながらほかの女性を愛さなければならない性をを持っていて、それをその妻は許し続けたようです。

その関係をどの位事実であるかと言うことは意図作者は作者は、小説というかたちでまとめきったのです。

自分の心も分からないのが人間ですから、本当のことなど誰にも分からないのでしょうが、この作品はそのようなこともふくめて小説として昇華させています。

井上光晴の作品は読んだ記憶がないので、読んで見ようと思います。

瀬戸内寂聴の書いた物は数冊読んでいますし、いつも対談などで目にする方ですので少しは分かっているような気になっていますが、作家の井上荒野という作家の作品は初めてなのですが、多分小説の中の母親とよく似ているのではないかと思いながら読みいました。

井上光晴が入っていると言う天仙寺は2度ほど行ったことがありますが、高台の静かなと手もようところでした。

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