山には必ずと言ってよいほど沼があります。
山が好きな私は山を歩いていて、静謐な沼に出会うとほっとします。
沼にはいろいろな伝説があるのは底知れぬ人の心とどこか似ているのかもしれません。
沼に揺らぐ
沼の岸にいつからいるのだろうか
穏やかな沼の少しのさざ波にも白骨のような根が揺れている
風の強い日にはもっと騒がしく揺れるのだろう
ひと時も休むことなく心を騒がせている根を
わが心に重ねて持ち帰ってきた
水草
静かな沼に写り込んでいる水草は
虚構の草も生き生きと
生ある草のように自己主張していた
実像も虚構ももない世界が
山間の沼に生きていた
写りこみ
さざ波さえない沼は
写り込みの草にさざ波さえ立てず
写り込みの葉は
歪むこともなくくっきりと
剣のような葉を広げていた
撮影地
蓼科高原の沼にて 初夏
福島県 観音沼 夏
福島県 裏磐梯近辺 夏