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日本型組織の病を考えるー村木厚子著

投稿日:2019年3月28日 更新日:

当時厚労省局長だった村木厚子氏は虚偽公文書作成容疑(郵便不正事件)にかかわったとして逮捕、半年近い拘留の末無罪が確定、事務次官まで上り詰め、退官後は「若草プロジェクト」を立ち上げ恵まれない環境に置かれた少女たちに支援をしています。

2009年6月14日逮捕といいますから、今から10年前のことです。その当時は今ほど政治に興味を持っていなかったのですが、逮捕の記事も無罪判決が決まったことも鮮明に覚えています。

そのような経験をなさった後に厚労省の事務次官まで務めた著者が、拘置所内での日々の出来事と不当な取り調べの現状、現在の政権と官僚組織の不祥事ついて書いているのがこの本です。

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繰り返される不祥事とは何か

著者は現在の公文書書き換え、相次ぐ官僚の不祥事や日大のアメフト問題などについて、同じような人間ばかりが集まった極めて同質性の高い組織の中で組織の圧力から生み出された「常識」と社会の「常識」とがいつの間にかかけ離れてしまったのではないかと書いています。

先が読めない、変化が速いときに一人のリーダーに変革をゆだねたトップダウン型の改革はリスクが高すぎるといいます。現に国民不在で「働き方改革」「外国人労働者の受入れ制度」と次々と法案が通っていくのを国民は憤りながら見ているほかはないのです。

国家の暴走に巻き込まれた日

時々、厳しい取り調べに自白を強いられたというような記事を読むことがありますが、著者の取り調べの現状は私が抱いていた以上の取り調べ方法のようでで、検察側にはストリーがあり交渉に負けてサインをしてしまう人が多いと言い冤罪に巻き込まれかねない危うさがあるようです。

体力的に限界まで取り調べを受けてサインを迫られるような取り調べがあるということが私には信じられないことですが、そのようにかかわりがありそうに周りの人から攻めて行き、無理やり自白を強いられてしまうということは恐ろしいと感じました。

しかし、著者のすごいところは積み上げると70㎝から80㎝になる調書の中から間違った記述を探し出せたことにより無罪へと導き出せたのです。

改竄を行っていた検事は逮捕され、実刑判決を受けることになったが、なぜこのような事件が起きたか解明されなかったために国家賠償請求訴訟を起こし、3300万円が手元に残り、これはのちに「共生社会を創る愛の基金」に使われることになりました。

拘置所で目にした日本社会の陰

拘置所の管理された場所で6ヶ月近くも強く生きることのできた著者は温かな家族、友人に恵まれていたことのほか、どんな時にも希望を失うことない性格と読書ができたということが大きかったのだろうと思います。

そして、村木厚子氏はその中にいる、薬物や売春に染まり受刑しているあどけない少女たちの姿を見たことから退官後、「若草プロジェクト」を立ち上げ恵まれない環境に置かれた少女たちを支援することになりました。

高年齢の認知症の受刑者、貧困で居場所がなく罪を犯して受刑を繰り返す老齢者など、日本の陰の部分をしっかり見つめてきたことが、その後の社会の役に立つことにつながったのです。

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日本型組織で不祥事がやまない理由

公文書改竄、廃棄、セクハラなどの原因は「建前」と「本音」を使い分けるから起きることであり、軌道修正ができない組織には、「権力や権限ある」「正義のため、公のために仕事をしている」「機密情報や個人情報を扱うなど情報開示がすないため、外からのチェックが入りにくい」などの共通点があり、後で間違いがわかっても引き返せないことに問題があるといいます。

そしてそれらを解決するにはルール作りと教育が大切だといいますが、国会質疑などを見ている限りかなり難しいと私は思ってしまいます。

繰り返される不祥事に対しての解決策については書いていることはわかりますし、官僚が劣化したとは思っていませんが、この問題は政権側の問題が多いことから、官僚だけではどうにもならない問題を含んでいるのではないかと思わされます。

公務員はこれからどう生きるのか

公務員、中でも中央省庁の役人は難しい時代になっていると思いますし、国民がよりよく生きられるために働かななければならないのだろうという著者の意見はもっともだと思いながら読みましたが、国民のためではなく、政権にこびている現状を打破しない限り、官僚としての生きがいを感じることが難しいのではないかと危機感を抱いています。

国民が知りたい多くの文書が公開されず、いつかは忘れるだろうといううやむやの中で進んでいく日々に危機感を抱いている国民は多いのだろうと、私たちは数年前の官僚の姿に戻ってほしいと思いがぬぐえないでいます。

公務員を目指す若ものが減っていく現状を食い止めない限り、日本はよくならないのではないかと思っています。高齢化社会という難しい未来の中の政策は誤ることがないようにと願っています。

村木流「静かな改革改革」の極意

この項は村木厚子氏が公務員試験に合格しどのように仕事をしてきたかが書かれています。女性官僚が少ない時代に、気張ることなくお茶くみまでを引く受け、与えれた部署で最大限の工夫をし、セクハラ研究会を作り、「障碍者自立紙支援法」を成立に導き、弱い人たちに光を与える仕事をしたことが書かれていて、著者のような公務員が多いことで日本はかなり良くなったのだろうと思うことができました。

数年前までの各省庁の公務員もそれぞれ心を砕いて仕事をしているのだろうが、現在は公務員にとってとても厳しい状況になっているのだろうと感じさせられています。

女性活躍の兆しは生まれつつあるように感じますが、それによってよりよい社会となってくれることを願いながら見守っていきたいと思っています。

退官後も「世直し」を続ける

拘置所で見かけたあどけない少女たちのために、「若草プロジェクト」を立ち上げ、少女たちに「LINE」で相談に乗ったり、避難場所も作っているようです。

 

郵便不正事件での損害賠償金を「共生社会を創る愛の基金」のために社会福祉法人「南高愛隣会」に基金として寄付をしたということです。福祉に結びついていないために罪を犯してしまう人、社会のルールがわからないために犯罪を繰り返してしまう「負の回転」を何とか変えたいという思いのようです。

退官後は民間企業の社外取締役をしていることから民間企業からも学び、「あきらめない」ことが日本を変える力になると書いています。あきらめないことがこの国を変えることができるのだといいます。

私にはなにの力もありませんが、小さな声を上げていこうこの本を読んで思いました。

闘いを支え続けてくれた家族へ

厚労省の同期だったご主人と二人のお嬢さんに恵まれ素敵な家族の中で、退官後も「世直し」を続けられ、日本が少しでも良くなるように頑張っている姿に私も小さな声をあげ、あきらめてはいけないという思いを胸に刻みつつ生きていこうと思いました。

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