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『子の無い人生』酒井順子著|親が死んだときのために子供は存在する

『子の無い人生』は『負け犬の遠吠え』で、独身女性を論じた著者が「未産女性」について書いています。

私は作者の親の世代より少し下で、一人娘が作者より数歳下で結婚はしているが子供がいないという「未産女性」なので、娘の側に沿った読み方をしました。

作者が母親から「結婚はしなくても子供は産んでおいた方が良い」と言われたと書いていますが、私もそう思った時もあります。

結婚して数年過ぎても子供が生まれなかった時には、産んだ方が良いというようなことを言いましたが、嫌がられたので後はなにも言いませんでしたが、仕事が忙しいとは言っていたので気が付いた時には卵子の老化で、生まれなかったのかも知れません。

もうすっかりあきらめていても、作者が書いているように娘の老後のことには不安がよぎりますが、私が心配することではないと思うよりほかありません。

娘は一人っ子なので、天蓋孤独ということになりそうですが、娘の夫に当たる姉に子供が二人いることが救いになるような気がしますが、血のつながりもない義理の叔母の老後のことまであてにはできないと思っています。

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少子化が進んで『子の無い人生』を送らざるを得ない人が社会の中で多くなる時代は間もなくやってくる

『子の無い人生』を読んで作者の親の世代に近い私の読後感は私たちの年代の人間には考えられないことが多いということでした。

私たちの年代というよりは個々人の考え方の違いといった方が良いのかもしれませんが、私自身はこれほど割り切ることができませんが、作者も書いているように子供を産むということは仕事や勉強などと違って頑張ればできるというものでもないということです。

私自身ももう一人は子供を欲しいと思っていましたが、かなわなくなった時にかなり落ち込みましたが、娘に子供が生まれないとあきらめる前までは一人で良かった思った時期もありました。

相続問題で兄弟が仲たがいをする現状を見るにつけて、我が家はそのようなことはありえないのだという思いから気が楽になっていました。

しかし何気なく娘が「天涯孤独」だなどと何気なくいうのを、聞いてしまった時は心のざわめきを感じないわけにはいきません。

しかし、娘の友達も「独身の子なし」もいて、人生を謳歌しているようですし、娘も好きな仕事をフルタイムでこなし、たくさんの趣味を持っているのですから自分の納得できる生き方をしていけばよいのではないかと思っています。

親である私たちが死んだ時には迷惑をかけないようにしようと思っていてもそうはいかないでしょうが、せめて私たちが入る墓とお寺は永代供養で用意してあるので、何とかなりそうですが人間どのような死に方をするかは自分でも想像すらできません。

この本の中でお墓事情を沖縄を例にとって大きく取り上げていますが、先祖代々の墓があるところでは結婚しない子供が墓守だった場合や子なし夫婦が墓守だった場合は無縁墓にならざるを得ません。

墓事情は数年で大きく変わっていくでしょうし、現在においても寺院墓地は手を入れ始めているようです。

私たちの年代の男性は、まだ結婚をしないという選択肢を考えてなかったように思いますが、現在は自分の好きなことをするためや、家庭の犠牲になりたくないために結婚をためらっている男性が多いということを読んで、かなりショックを受けました。

女性に出産適齢期があっても、男性にはないことが多いとのことですが、結婚しない人生を選ぶ男性が多くなればなるほど、結婚しない女性が増えて少子化がますます助長すること間違いなしでしょう。

キャリアを積んで結婚を考える余裕のなかった女性が、いざ結婚しようと思った時に周りを見渡すと結婚をしたくない男性ばかりだという矛盾があるということは社会の大きな損失につながるのだろうと思います。

子育ても家事も同じように分担してまで家庭を持ちたくない男性と、仕事も家庭も子育てもしたいという女性が結婚生活を続ける難しさは誰が見ても明らかでしょう。

そんなことから、仕事のできる忙しい男性は結婚をしたがらないのでしょうし、能力があって仕事ができて仕事も家庭も手に入れようとする女性は結婚しないということになってしまうのでしょう。

私たちの年代の人は結婚退社という言葉がまかり通っていた時代ですので、私も仕事を辞めて結婚しましたが、娘にはそのような選択をしてほしくないと思ってきました。

娘に何かを言ったわけではありませんが、娘は結婚退社という選択をしませんでしたし、子供を産んだ方が良い年齢には忙しすぎて子供を産むことができなかったということがあったのかもしれません。

そのような女性が増えた結果、出生率の低下をもたらしたのでしょうが、その頃には卵子の老化があることを知らなかった人が多かったことも原因の一つにあげられるのかもしれません。

海外ではかなり多くなっている未婚の母も、日本では肩身が狭く選択肢の中に入りにくいという現状を打破できるようになればもっと日本でも出生率が上がるのではないかと思います。

日本でも結婚は無理でも子供だけは欲しいと思っている女性が多いのではないかと考えればそれが普通にできる社会こそが求められるような気がします。

「男女共同参画社会基本法」が制定されても、男性が自分の生き方を変えたがらない現状において、法律だけが独り歩きしてしまい、子供も仕事も家庭も手に入れたいという女性はかなりハードルが高くなります。

そのように思ったときに必要なのは社会全体の改革であり、男性の仕事の仕方を変えることであるのでかなり難しい面を持っていると言わざるをいません。

仕事を優先にしなければ生きていけない会社が大多数を占め、朝早く出勤し夜中に帰ってくる夫を子育てをしながら待つという女性がいまだに多い現状からして、男と同じように仕事をして子供を育てるということ自体が無理な社会のような気がします。

我が家の近辺は住宅団地ですので、奥さんも働いている家庭が多く、昼間はほとんどが留守ですが、「男女共同参画」というよりは女性はパートで働いているといううのが現状のようです。

このような現状の中で子育てしているのが普通ですから、「男女共同参画社会」で、子育てするという実現はかなり無理がありそうです。

そのような現実から「男女共同参画社会」の実現と子育てとの両立を図るためには社会がもう少し熟す必要があるのかもしれません。

『子の無い人生』は出生率の低下をあらゆる方面から考えている本であり、若い女性が一度は読んでおいた方が良い書物だと思いました。


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