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たとえば君 四十年の恋歌(河野裕子が乳癌でなくなるまで)

2015年3月17日

河野裕子さんとの出会いから結婚、そして乳癌が見つかり家庭破壊をも考えられるような壮絶な闘病の日々ののち、安心したころに再発そして亡くなるまでの二人の恋歌を夫である細胞生物学者で京都大学教授、短歌結社「塔」主宰永田和弘さんの相聞歌と河野裕子さんのエッセイを交えて亡くなるまでの40数年間の愛の記録です。

ほとんど家にいないような夫の留守をわかっていながらも寂しさに耐えかねて荒れてしまう気持ちは女の私にはよくわかります。

そんな時に男の人は心配を増幅させないようにと平静を保とうとする人が多いようです。

永田和弘さんも多忙の中での心は乱れながらも同じような態度をとったようですがそれがいけなかったと妻の短歌から感じ取って、振り返って反省しいるようです。

お互いにその時々の思いを歌にしていたからこそ、お互いの気持ちは汲み取ることができたのでしょうが、その時期の二人の歌を読み返してきて涙ぐんでしまいました。

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出会いから結婚、乳癌が見つかり手術しての闘病生活から再発、亡くなるまでの恋歌

出会いから結婚二人の子供を親となり子供が成人して、癌が見つかり亡くなるまでずっと二人でかなりの数の相聞歌を詠んできたという歌人は稀有な存在だと思いました。

心の食い違いがあってもお互いの歌を詠むことによって心を通わせることができたのだろうと思い、歌があったがために残り少ないとわかっている日々を力強く生きられたのだろうとも思いました。

そして亡くなる前日に口頭で残した次の歌は後々までも歌の世界に残ることだろう思いました。


手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が 裕子


私は歌集を読んできたので、エッセイに出てくる歌人の名前などはほとんどわかりますし、この中の歌も歌集として、また雑誌に載った時に読んだものも多くあるので、理解できることが多かったと思っています。

しかし、今回は短歌というよりは癌を患う人の心をより多く感じながら読まざるを得ない部分もあって、癌の妻と向き合った永田和弘さんと河野裕子さんの心の軌跡がとても気になりました。

癌患者の心を支えることの大切さ

河野裕子さんの最初の診察時に癌であることが告げられているように、現在はがん告知は普通になっているのだろうが、その後の心のケアは今の病院ではどのようになっているのだろうかとこの頃思っています。

医学が進み癌の治療は本人に知らせることなくしてできないのが現状のようですが、河野裕子さんもそうだったように再発という不安から逃れることができないのが癌の特徴です。

癌の死亡率が高くなっている現在において、これらの心のケアの問題は今後の医療に大きな問題を投げかけているのだろうと思います。

河野裕子さんのような知性的な方でも家族がどうしようもないほど荒れたと永田和弘さんが書いています。

死の恐怖は、本人にとっても家族にとっても大変なことでしょうが、それらをどのように乗り越えることができるか、抗がん剤の治療が、正常な細胞まで傷つけるようになったために治療ができないと言われた時の次の治療法も示してもらうことができないようですし、緩和ケアで死を待たなければならないというのも辛すぎるように思います。

癌をたたくことができなくとも、増殖を抑える治療がもっと見直され、保険適応になれば癌患者には心の安らぎができるのではないでしょうか。

もう治療法がないからとい言われて家に戻ってくる患者の気持ちを考えるとやるせない気持ちでいっぱいになります。

一昔前は一日でも長く生きさせるための治療を施し手の施しようが無くなって患者に辛い人工呼吸器を付けていたのを見たことがありますが、その時に私は絶対に付けたくないと思いました。

しかし現在の医療は元気であっても治療ができないといわれるというのを見聞きしてとても悲しく複雑な思いになっています。

何度か耳にしたことがある、癌は死支度ができるから良いという言葉も今は否定的に思います。

身内の人は悲しむでしょうが、急死ほど本人にとって良いものがないと思いますが、それだけは自分で選べないと思うとき、癌患者の心のケアこそが病院と連結して行わなければならない治療ではないかと思っています。

これ以上の治療はできませんと言われた時は患者ばかりでなく家族にとっても精神的につらいようです。

癌を熟知している細胞生物学者である永田和弘でさえそのように告げられた時には憤りを感じたと書いていますので、誰にとっても辛い言葉であることには変わりがないと思います。

そのような方が身近にいたとき、私はどのような言葉をかけることができるか考えても思いつきません。

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