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『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ著

著者40歳の時の作品でのようで、今年の本屋大賞の候補に選ばれているようです。

読んだ方の感想から、一度読んで見ようと思い購入しました。

現在問題になっている子供の虐待を扱った小説で、山田詠美氏の『罪人』と重ねて読んでしまうところがありましたが、山田詠美が実際に起きた子供置き去り事件を扱ったいてそのむごさがひしひしと感じられたのに対して、その感受性に少し甘さを感じてしまったのは否めませんでした。

しかし、誰にも聞こえない52ヘルツの声で鳴くクジラの声には孤独を深く感じさせられました。

『52ヘルツのクジラたち』のあらすじと感想

子供を育てるのは若い母親にはとても大変なことだと思います。

ましていろいろな事情を持つ親の元で育てられる子供は、愛情に飢え、孤独に耐えて生きていることが多いようです。

この小説もそのような現在を切り取って家族に恵まれなかった女性と母に虐待されている少年が出会い心を通い合わす魂のふれあいを書いています。

『52ヘルツのクジラたち』のあらすじ

妾の子として生まれた貴湖は、母が再婚して弟が生まれると日常的な虐待の中で育ちました。友達は同じような境遇の美晴だけでした。

高校を卒業して職場も決まり、やっと今の境遇から抜け出せると思っていたが、義父が筋萎縮性側索硬化症という難病を発症し、筋肉がだんだん動かなくなり、仕事が出来なくなったためにその後を母親が継ぎ、貴湖がひとり昼夜の看病を虐待を受けながらすることになったのです。

家で病気療養していた父が誤嚥性肺炎になり、「認知機能も落ちているので人工呼吸器を必須となります」という医師の言葉に、母は貴湖のせいだと言って頬を打ったのです。

その悲しみから「もう、どうでもよい」思って、街をさまよっていたとき、偶然に友人の美晴と会ったのです。

一緒にいた数人の仲間は美晴が経理として勤めている学習塾の先生などの仲間で、休日のために出かけるところだったようです。

最初に見つけたのは数学を教えているというアンさんという人で、美晴とアンさんに連れられて24時間営業のお店に入り、今までのことを話すと、もう今の生活から抜け出した方がよいとアンさんに言われ、貴湖は家から出て仕事を探して独立することになりました。

美晴と美晴のの恋人の匠とアンさんと貴湖はよく飲みに行きました。

その後、専務が従業員が食堂でけんかをしているのを止めたときに貴湖に椅子が当たってしまったことがきっかけで食事に誘われ、付き合うことになったのですが、専務の主税には結婚する相手がいながら、一生貴湖を愛し守り抜くと言います。

主税は貴湖の友達である美晴、匠、アンさんと会ってくれたが、アンさんとはお互いに相容れないものを持っていたようでした。

アンは主税が婚約者がいながら、貴湖と付き合っていることを知り、主税の父や婚約者にまで手紙を書いたので、主税はアンの素性を調べたようで、トランスジェンダー であることがわかり、貴湖はアンさんの思いを知り、会いに行くことにしました。

そこでアンさんが自殺をしていて、母親と主税に当てた遺書をみつけ、主税に渡しましたが、主税は見もしないで焼いてしまったことから争いになり、貴湖のおなかに包丁が刺さって救急車で運ばれました。

主税は分かれないと言ったようですが、主税の父と弁護士が訪ねてきて、示談金を持ってきて、遠くに行ってほしいと頼まれ、妾として晩年を過ごしたさいはてともいえる家に引っ越し、そこで母親に虐待をうけている、話をしない男の子と知り合うことになります。

その子は話はしないが字を書くことが出来るので、父親の母と妹にかわいがられていたことを知って小倉まで訪ねていきますが、二人とも亡くなっており、その後、母方の祖母が再婚して暮らしていると言うことを聞き訪ねていくと、その子を引き取り育てるといいます。

少年と心が通い始めたころ、ほかのクジラたちが聞き取れないという高い声で鳴くという52のヘルツのクジラのMP3プレーヤーを少年に聞かせ、自分がひとりで家を出て眠れなかったときに、一緒に暮らしていた美音子ちゃんがくれたものだと説明し、それを少年が気に入ったことから、この小説の題名はついているようです。

そのプレーヤーを聞くと不思議と眠れたことなどを話し、打ち解け始まると筆談で話すことが出来るようになります。

虐待を受けてさびしく育った貴湖と少年は徐々に打ち解けていき、心が通うようになります。

そんなところに美晴が訪ねてきて、今までのいきさつなどを話し、3人で暮らすうちにお互いの傷も癒やされていくようでした。

『52ヘルツのクジラたち』の感想

現在、社会問題となっている子供への虐待を受けて育った貴湖を救い出してくれたアンさんはトランスジェンダー であったために貴湖が好きだったことも告げられず、貴湖が婚約者がいながら付き合っていた主税から守ろうと必死だった故に自殺をしてしまったようで貴湖はショックを受けます。

すべてのことが分かった貴湖はアンさんの気持ちが分かり、祖母が移り住んでいた引っ越して、そこで母親に虐待を受けている少年と出会い、心を通わせていきます。

多くの人の愛の中で育った昔と異なり、今は親も余裕をなくしています。

社会問題となっている現在の子供への虐待を取り上げて救いを提示している小説です。若い人たちが読んで子供をひとりの人間としていかに愛していけばよいか考えてほしいと思いました。

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