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芥川賞 『火花』ーお笑いの突込みから生き方を描く

2015年7月17日

例年ですと芥川賞、直木賞の受賞は期待感の中で発表を待つのですが、7月16日の午後には安保法案が強行採決され、新国立競技場巨額総工費問題のニュースが大きく取り上げられている中で、芥川賞2人、直木賞1人のうれしいニュースでした。

『火花』の作家又吉直樹さんは、日本のお笑いタレント、脚本家、小説家であり、ピースのボケ担当のようです。

基本的に読書が好きだと思っていた私は、パソコンを初めてから読書量が極端に減っていて、これからもっと読書をしようと思っていた時期の芥川、直木賞受賞でした。

芥川受賞作の「火花」と「スクラップ・アンド・ビルド」を購入しようとネット検索したところ、「スクラップ・アンド・ビルド」はまだ単行本にはなっておらず、掲載紙の「文學界2015年3月号」は購入できそうなところがありませんでした。

「火花」はベストセラーになっていて電子本も出ていたので、すぐに読むことのできる電子本を購入して読み切りました。

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ベストセラーの「火花」の書評はかなり分かれていた

以前は芥川賞の受賞作はかなり読んでいましたが、パソコンをするようになってほとんど読んでいないことに気が付きました。

純文学と言われる芥川賞は、小説の筋を読むというよりは人間の根源に触れるような心のひだを描いたものが受賞されるので、若かったころの私には理解が出来ないことも多々ありましたが、それでも読み切りました。

私情を言えば、なぜ芥川賞なのかわからない小説もありましたが、価値観を学ぶために読んだような気がします。

それ以上に評価の確立しているような日本文学、海外文学を読み漁り、理解できなかった小説は数年後に読むという読み方もしました。

自分の理解力が不足していて作品の価値がわからないもの、人生経験の浅さから理解できないもの、その時の自分の置かれている立場によってより深く理解できる小説があることも学びました。

「火花」は単行本化され、ベストセラーになっていることからかなり読んでいる方が多く、書評もかなり分かれていて、酷評も多く見かけられました。

選考委員の山田詠美さん評

どうしても書かざるを得なかった切実なものが迫ってくる。一行一行に人生的なコストがかかっている。

と書いているように、とても高い評価をしている方がいました。

私は芸能人が書いたベストセラーのような小説はあまり読まないほうなので、「火花」はベストセラーになっていること自体知りませんでしたし、お笑い芸人のピースも又吉直樹さんも知りませんでした。

読んでみたいと思ったのは少し小説からはなれていたので、読み始めてみたいと思っていた時だったことと選考委員の山田詠美さん評がきっかけでした。

又吉直樹さんのことや書評など様々な背景を読んだのは「火花」を読み終わったからで、芥川賞に選ばれたことと山田詠美さん評を読んだこと以外は白紙の状態でした。

芥川賞にふさわしい文学だと思った

文学を書くことは職業などすべてのことを超えて書き手の心の奥深いところから湧いてくる生きていることの謎のようなものがどのくらい掘り下げられているかが大きな意味合いを持つものなのではないでしょうか。

熱海で出会った、お笑い芸人の神谷さんに惹かれて弟子にしてもらい、師弟関係からお笑い芸人の世界を書いた小説ですが、お笑い芸人の裏の世界が見えるとともに、人間共通の生きることの意味、あがき、純粋さを描き切っていると思いました。

成功するもしないも、努力だけではかたずけられない運のようなものを持っているのはどの世界でも共通のことでしょうが、主人公の徳永も純粋でまじめな性格だが、それ以上に純粋で世渡りが下手なのが神谷なのかもしれません。

漫才を語っていて、二人のやり取りは最後まで生き方の根源に迫っているのがこの小説の良さなのかもしれません。

おかれた立場やその人の感性によって、同じ本を読んでも感じ方はそれぞれだと思いますし、好みも違ってくることから読後感は違ってくるのが当たり前のことなので書評もまた様々なのだと思います。

私が少し物足らないと感じたことは、この小説に出てくる人物がすべて良い人(素晴らしい)ばかりだという点にありました。

2作目の小説がこの小説を超えることが出来ることこそ、又吉 直樹が小説家として認められることにつながるのだろうと思います。

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