コード・ブルー―外科研修医救急コールはアメリカ人医師が8年間にわたる研究医時代に経験した様々な出来事に関するエッセイ集で、不完全で、不可解で、不確定に満ちた医療の現場を赤裸々に綴っています。
時間との闘いの中で、それそれに違った症例の患者をいかに助けるか、必死に働いている姿が書かれていますが、患者にとって恐ろしい場面もたくさんありました。
私がこの本を購入したのは、昨年(2014年8月)で、網膜剥離の手術、その後バックル感染が分かり、再手術をして2カ月くらいが経過していたころでした。
まさに私にとっては、不完全なな手術後のイライラ感と闘い、良い医者に巡り合い感染症が分かり、再手術をしたばかりで一安心という状態の時でした。
そして、そのころは夫が頚椎症性脊髄症であることがわかり、手術以外に治る見込みがないことがわかって、手術をしていただく病院・医者探しをしていたころでもありました。
今もこの本がやっと読める状態ですが、そのころはまだこの本を読めるまでには視力は回復していませんでした。
ずっと電子本を文字を大きくして読んでいたのですが、いつかは読めることを信じて購入したのだと思い返しています。
スポンサーリンク
コード・ブルー―外科研修医救急コール を読んで
網膜剥離の手術後読んだ単行本は、この本が初めてです。
疲れて、以前のようには読めませんでしたが、日にちをかけてやっと読み終わりました。
そんな苦労をして読んだのですが、それ以上の価値のある本でした。
科学的で絶対的であると思われている、医療現場がとっても人間的なところで、ミスがいつ起きてもおかしくない現場であり、いつ何が起きるか分からない人間と言う不可解な体と向き合いながら、研修を積んで、一人前の医師となってく日々が赤裸々に書いてあります。
自分の子どもだったら、もっと訓練を積んだ医師に見せたいと思いながらも、誰もが研修と言う現場を踏んで医師となっていかなければならない現実も率直に書いています。
人間である限りどんなベテランの医師であっても、医療ミスは起こす可能性があることを考えて、医療現場は医療ミスを防ぐために最大の注意を払うようになっていると思います。
この本が出版されたのは2004年7月なので、それ以前の10数年前のアメリカの医療現場のことであり、現在は治療方法なども変わっていると思われます。
しかし、医師と患者はともに人間であり、その信頼関係が大切なことは論を待たないと思っています。
治療するものと治療を受けるものとの関係の差は大きいことは間違いないことですが、医師は絶対的な立場ではなく、患者の側におりてきてほしいと思っています。
私の知人ですが、あまり技術が良くない医師の手術を受けたために数十年後も快癒とまではいかない状態の方がいますが、先生がやさしかったから良いと言っている人もいます。
医師も人間であり、不完全であると思えば快く受け入れることができることもたくさんあると思います。
私は医療関係の仕事をしていたことがあり、いろいろな病気で医者に行っていますのでたくさんのお医者さんを見てきています。
ある病院で、待合室で見知らぬ人と話していましたが、同じ病院の医師なのに「その方は、痛くて大変でしたね。」と医師が言ってくれたと言っていました。
そして別の患者は、傷みを訴えたときにに「あなたは鬱になっていますから。」と言われたと言う事です。
同じ病院の同じ科に勤務する医師のこのような違いはどこから来るのかとっても不思議に思っていましたが、この本はそんな私の疑問にも答えてくれたように思います。
一冊の本を読んでも、感じ方はそれぞれに異なることと思いますが、医療現場に携わる方はもちろん、それ以外の方も読んでおくことをお勧めしたいと思いました。