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『誰も知らない』是枝裕和 監督 映画

1988年に発生した巣鴨子供置き去り事件を、是枝裕和 監督が15年の構想の末に2004年に公開された作品のようです。30年以上前の出来事のようですが、私は何も記憶に残っていませんでした。

12歳の福島明を演じた主演の柳楽優弥は2004年度の第57回カンヌ国際映画祭にて史上最年少また、日本人として初めての最優秀主演男優賞に選ばれたようです。

是枝裕和 監督は『万引き家族』『海街diary』は漫画の映画化ですが、核家族の中での子供たちについて温かく描きながら問題提起をしています。

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『誰も知らない』のあらすじと感想

母親が悪いというのは簡単ですが、女性が一人で子育てをしなければならない時、犠牲者となるのはいつの時代であっても子供たちである事を芸術として訴えている是枝是枝裕和監督の映画にはいつも感動させられます。

これらを社会問題として捉え暖かな支援が必要ではないかといつも思わされます。

『誰も知らない』のあらすじ

母親と一緒に父親の違う四人弟妹が、2DKのアパートに越してきて、近所には長男との二人家族だと挨拶に行きます。

子供四人の母子家庭であると言えば追い出され兼ねないとの思いからです。スーツケースの中には次男の茂、次女のゆきが入っていて、長女の京子も人目につかないように、こっそり家にたどり着来ました。

母親はデパートで働き、長男の明は夕食を作り、長女の京子は洗濯をして幼い子を面倒見ながら母親の帰りを持つ生活は幸せそうですが、四人弟妹は届け出もしていず、学校にも行っていません。

明と二人暮らしになっているため、ほかの子供は部屋から出ないという約束をさせられ、絵を描いたり本を読んだり、ゲームで遊んだりという日々をを過ごしています。

明だけは毎日買い物に行き、食品や生活に必要な物を買いに行き、独学で覚えた文字で家計簿のような物をつけてやりくりしています。

母は明に好きな人が出来たので、少し家を留守にするが、うまくいけば学校にも行けるようになると行ってお金をおいて家を出て行ってしまいます。

一旦、それぞれの子供に、お土産買って帰ってきたのですが、すぐに幾ばくかのお金をおいて出て行ったまま帰ってきませんでした。

そのような中、けなげにも明は出あった女の人にお年玉の袋に名前を書いてもらい、母親からだと渡すのです。

その後、現金書留でお金を送ってくれた母親の住所から電話番号を探し、電話を掛けるのですが繋いでもらうまでにお金がついてしまいお金がなくなったことも言うことが出来ません。

次男の茂と次女のゆきの父親にお金の無心をしますが、お互いに生活が苦しいようで、少額のお金しかもらえません。

そのうち、料金滞納から電気・ガス・水道も止められてしまい、風呂も入れず、洗濯も出来ず、食事を作ることも出来なくなり、バケツで公園から水をくんできて水分補給をすることになります。

そのような日に、道路脇に咲いている芥子のような花の種を取り、公園からカップメンの空の入れ物に土を入れてベランダで育てることになった子供たちに素敵な未来があるように感じさせてくれます。

そして、そこから芽を出した雑草やなどと一緒に育って行く緑の葉に水やりをしている茂の姿には希望を感じることが出来ます。

コンビニで働けないかと店員に相談するのですが、12歳では無理だと言われてしまいます。そしてコンビニで売れ残りの惣菜をもらうなどして生活しています。

公園で登校拒否の中学生の紗希と知り合い、打ち解け、紗希は援助を申し出るが、援助交際をしたお金と知る明は受け取れず駈け去ります。

お金がなくなるに従い、子供たちは元気がなくなり、言うことを聞かない弟たちに腹を立て家を飛び出し、野球の仲間入りをさせてもらい家に帰ると、次女のゆきがベランダの物を取ろうとして転落して意識がなくなっていました。

動かなくなったゆきを見て呆然としている、京子と茂を見て、母親に電話をするが母がでるまでにお金が次いでしまい、医者にも連れて行けず、薬を盗んできますがゆきは死んでしまいます。

引っ越しの時に入ってきたスーツケースに入れて、紗希にお金を借り、ゆきの好きだったアポロチョコを沢山買い、紗希とともに電車で運び、ゆきが憧れた飛行機がよく見える羽田空港近くの河川敷に埋め、二人で弔うのでした。

その頃、母からお金が届いていて、子供たちをよろしくと書いてありました。

後日、いつも通りコンビニ店員から売れ残りの惣菜をもらう兄弟と、彼等に寄り添う紗希の姿がありました。彼らはいつもと変わりなく、いつものように自分達のアパートへ帰って行きます。

『誰も知らない』の感想

出生届も出されず、父親の違う四人の弟妹が、誰にも知られることなくひっそりと暮らしているという光景を何かが起きなければ知られることもないという時代が、いつの間にか日本の現状になりつつあります。

母親の身勝手さを責めるのは簡単ですが、それを社会問題として考えていかなければ、問題か帰結することはないでしょう。

子供たちは、福祉に相談することも知っていますが、兄弟がバラバラになることを恐れて相談したくないと言います。

そんな子供たちの思いを大人たちはくんであげることは出来ないのでしょうか。

明は学校にも行きたがっているし、これで良いと考えていると言うよりはどうすることも出来ない、今の社会に置き去りにされているだけなのです。

2010年6月、大阪市内のマンションで母に置き去りにされた幼い姉弟が餓死した事件をモチーフにして山田詠美さんが書いた長編小説を読み終えた数日後に見た映画だった故に思いもひとしおでした。

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