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『万引き家族』是枝監督ーカンヌ最高賞受賞の映画感想

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第71回カンヌ国際映画祭で 最高賞のパルムドール受賞の『万引き家族』を見てきました。

是枝監督は、ブログに〈映画がかつて、「国益」や「国策」と一体化し、大きな不幸を招いた過去の反省に立つならば、大げさなようですがこのような「平時」においても公権力(それが保守でもリベラルでも)とは潔く距離を保つというのが正しい振る舞いなのではないかと考えています〉とも綴り、映画が公権力から一定の距離を置くことの重要性を確認したうえで、政府などからの顕彰の類は固辞していると明かした。

http://lite-ra.com/2018/06/post-4062.html

これについては賛否両論があるようですが、私は今の時代にこのように言うことが出来る人がいることに安堵しました。何を信じてよいのかわかりにくくなっている現在、このような正論を言われた監督のこの映画は絶対に見なければならないと思っていました。

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あらすじ

映画は父親の治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)が万引きをするところから始まりますが、冬の寒い帰り道、近くの団地の廊下で震えていた幼い女の子ゆり(リ佐々木みゆ)を、見かねた治が連れ帰ります。

ゆりには腕に火傷の跡などがあり、日常的に虐待を受けていたようです。父親がDVのようで、夫婦げんかが絶えないような家で孤独で寂しく暮らしていたようです。

家には治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)夫婦、息子の祥太(城桧吏)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)、家主の初枝(樹木希林)の5人が狭いごたごたした家で暮らしていますが、ユリが入ったことで6人暮らしになります。

ゆりは次の日に治と信代が返しに行ったのですが、夫婦喧嘩をしているさなか「生みたくて生んだのではない。」という言葉を聞いて帰すことにためらいを感じ戻ってきたという経緯があります。

彼らの生活は、この家の持ち主である初枝の年金で、足りない生活費は、治と祥太が万引きをすることで暮らしていました。治は工事現場の仕事をしていたが、脚を怪我してしまいます。信代はクリーイング店で働いていたが人員整理にあい、信代の妹の亜紀はJK見学店でアルバイトをしています。

社会では家主の初枝(樹木希林)が一人暮らしということになっていて、寄せ集めの家族だが、互いを思いあって仲良く暮らしていました。

祥太はゆりに万引きを教えて、足のケガをして父である治の代わりに万引きを続けていたのですが、近所のだがしやさんで万引きをして、呼び留められて「妹にはさせるなよ。」と言われて菓子を2つもらいました。

その後、少女が行方不明になっているというニュースが流れ、ゆりは「じゅり」という名前であることが分かります。髪を短くし、水着や洋服を試着室に持ち込んで万引きをして、ゆりを隠そうとします。

その水着が気に入ったゆりのために海に行くことになり楽しい日を過ごしてきたその夜、寝ていた初枝が死んでいることに気が付きますが、世間から隠れて暮らしている模擬家族はそれぞれに過去を持っていて、葬儀をすることも出来ず、家の床下を掘って埋めてしまいます。

そのことが契機になったのかそれぞれの心が少しずつ変わってきます。翔太は「妹に万引きをさせるな。」と言われたお店が店じまいをしているのを見て、万引きに違和感を感じ始めます。

ゆりに外で待っているようにと言ったのにお店に入り万引きをしているのが見つかりそうになり、祥太はかばって果物を抱えって逃げて飛び降り、足にけがをして捕まって入院してしまいます。

呼び出しを受けた治と信代は着替えをとりに行くと言って家に帰り、皆で逃げようとしていた時にとらえられてしまいます。

そんなことがあり、それぞれの過去が分かってきます。信代は元夫を埋めたことが分かってしまうのです。それぞれに取り調べを受けますが、初枝を埋めたこともすべて初枝が罪をかぶり刑に処せられることになります。

翔太は施設に入り学校に行くことになり、治は翔太と信代に会いに行きますが、そこで翔太がパチンコ屋さんにいたこと、場所や車のことを教えて親が見つかるかもしれないと言います。

その夜、治が借りた部屋に翔太も泊まり、自分を置いて逃げようとしたことを聞きただされた治はうなずきます。次の日、バスの停留所まで送られた翔太はわざと捕まったと打ち明けます。

もう会えないかもしれない翔太を治は走って追いかけ、翔太もバスからしっかり見つめます。

親元に返されたゆりはDVで顔に傷を負った母親に邪険に扱われ、寂しく街を眺めているところで終わります。

感想

万引き家族という題名にどのような映画だろうと思って見に行きましたが、現在の社会の底辺を掬って常日頃感じていた社会の底辺を決して押し付けることがない描写で丁寧に描いていました。

それぞれに深い過去を持ちながら明るく生活していた裏側には時代の矛盾と深い悲しみがあり、それぞれの生がやりきれなく悲しい時代背景を写す物であり、万引きを肯定しているのでもなく、子供心にも万引きがいけないことを悟っていくまわりの優しさが見事に描かれています。

子供を車においてパチンコに興ずる大人、DVで被害を受ける妻、そのはざまで虐待を受ける子供、現在に生きることの切なさを余すところなく語っていています。押し付けることのない思想をみんなで考えたいという是枝監督の心が伝わった来ました。

明るく子供たちの自然なしぐさを見て、昔見た「禁じられた遊び」をなぜか思い出していました。あの子役たちはとっても良かったと思い、しばらく余韻に浸りました。

とても生きにくい社会になっていて、親や大人は子供たちに様々なことをしつけと称して押し付けているような気がします。柔らかな子供の心に優しく寄り添うだけで子供たちはもっと幸せになれるのだろうと感じぜにはいられませんでした。

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