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『二十歳の原点』 高野悦子著ー学園闘争のさなか二十歳で自殺した女子大生の日記

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アマゾンから時々本の紹介のメールが届きます。結構興味のある本の紹介が届くのですが、つい最近『ニ十歳の原点』の紹介が届きました。表紙を見た時、読んだことがあるばかりでなく、我が家にあるのではないかと思いました。

数十年前に読んだ本なので、どこにあるか覚えていませんが本棚の背表紙を探したところ、手が届かない高いところに見つけることが出来ました。我が家の本は昭和46年5月10日発行、昭和46年8月10日8刷になっているので、ベストセラーになったのは覚えていますがかなり読まれた本のようです。

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『ニ十歳の原点』のあらすじと感想

ここには昭和44年1月2日から死の前々日の44年6月22の未明までの日記が載っています。24日午前2時30分ごろ電車に飛び込み自殺したことから1日前まで日記を書いていたようです。

死の前日もバイト先である京都国際ホテルで働いていたということです。死とはこのように突然とやってくるものなのでしょうか。

1月には家族と一緒にスキーを楽しみ、昭和24年1月2日生まれの著者は20歳の誕生日を迎えるのです。「未熟であること、孤独であることの認識はまだ浅い。家族とともに生活していると、何も考えずにいても楽しく過ごせるのだ。」と書き、「私の顔の造作はかわいらしくできているらしい。目はまあパッチリしているし、鼻すじは通っていて、口はおちょぼ口で愛嬌がある。」と自分を分析できるほど表面は普通の可愛いい女の子であるが、家族は自分のことをどのくらい知っているのだろうかと書くように思っていることとのギャップを感じながら生きているのが分かります。

本誌にも写真が載っていますがとても魅力的女性ですが、メガネをかけて可憐さを遠ざけようと考えていることは、その後学生運動にかかわった行ったことと関係しているのでしょう。

日米安保条約が自動延長するに当たり、これを阻止して条約破棄を通告させようとする運動が起こり、全共闘や新左翼諸派の学生運動が全国的に盛んになっており、東大闘争、日大闘争を始め、全国の主要な国公立大学や私立大学ではバリケード封鎖が行われ、「70年安保粉砕」をスローガンとして大規模なデモンストレーションが全国で継続的に展開され、作者が通っていた立命館大学も構内をバリケードで囲い運動が拡大していきました。

70年安保は左翼がいくつにも分かれて戦ったのが特徴で、その対立の中で悩みながら、資本論、戦後史、太宰治などむさぶるように読み、たばこを吸い、アルコールをのみ、ゲバに参加し、アルバイトをし、異性への興味も抑えがたいものを持つという生活をしていたようです。

国家権力という大きなものに立ちはだかり、恋に悩む彼女はこの時代を生きるには繊細過ぎたのかもしれません。どうにもならないことばかりの中で、精いっぱい生きながら心も体も疲れてしまったのではないかと思いました。

この本を読み終えて、胸の苦しさを数日間抱えながら生きています。私も本を読みノートに死にたいと書いた20歳の自分がいたことを思い出しました。今も一人であること、孤独であることには変わりありませんが、20歳の自分とはかなりかけ離れています。

育てた女の子は、20歳をかなり過ぎて結婚していますが、親であっても子供の本当の心は分からないまま過ごしています。今になって20歳のころの娘は何を考えていたのだろうかと思いました。

それまで生きてきた反体制側に飛びこみ、自分で生活しようとアルバイトをしても、迷いや混沌の渦は大きくなるばかりでした。そんな心の空虚さを男性に求めて見ても満たされるものではなく、心が疲れていくのが伝わった来ます。

死の原因はすべてのことによるものだろうと私には感じられます。失恋だという人もいるようだが、ノートを読んで感じた痛みはそれだけではないと思います。

末尾に置かれた詩はなんと美しく悲しい調べを持っています。

60年以上も読み継がれていたことを知り、そしてそれが少しも古びることなく私の老いた心にこれだけ響いてくる彼女の生きた20歳の苦悩を感じぜにはいられません。

現在の20歳の若者はどのように考え、生きているのか私には想像もつきませんが、この本を読んでみていただきたいと思いました。

今、政治が荒れています。たぶんこの時代と比べようもないくらいひどいと思いますが、若者は現状をどのように分析しているのでしょうか。彼女と同じ時代を生きてきた人達は、どのように感じているのか知りたいと思います。

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