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『老人に冷たい国・日本』 河合勝義著|貧困と孤立の増加を危惧

30年以上も前から「高齢者の社会的孤立」に取り組み、NHK のNHKの特別番組「無縁社会」、「老人漂流社会」に協力、出演したこともある、高齢者問題の代表的研究者の著書です。

NHKの特別番組「無縁社会」「老人漂流社会」など私たちがいつ襲われるかもしれない現状に目をつぶりたい思いで見た記憶があります。

著者も書いているように、介護保険制度の導入によって高齢者福祉の行政サービスの大部分が民間業者にゆだねられた結果、行政による高齢者の問題の把握力の低下をもたらす結果になったといいます。

その結果比較的生活安定している高齢者にとっては身近な制度となったが、自分から声を上げない人々にとっては制度との距離が大きくなったと言います。

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『老人に冷たい国・日本』 河合勝義著ー貧困と孤立の増加を危惧

老人の貧困と孤立の増加が内在化し孤独死が問題化される中、介護保険制度の導入により、65歳以上の高齢者の1割半程度の高齢者の介護問題を見ているに過ぎず、残りの8割半の高齢者のの中で起きている問題は放置されたままになっているという。

著者は長い年月65歳以上の一人暮らしの生活を調査した結果を詳細に分析した膨大なデーターをのせているので、それを見るとひとり暮らしの増加、中でも後期高齢者の増加が詳細にわかります。

調査した高齢者の中で、貧困と孤立を抱ええいる高齢者は32%を占めており、貧困と孤立は最も弱い層を狙うと言います。

貧困と孤独がもたらした「孤独死」が先進国と言われる日本の中で「餓死」という事態で起き続けているのをニュースで見るたびにやりきれない思いになります。

そのような事故が放映されるたびにお役所の怠慢さを感じさせられますが、生活保護を打ち切れられたり、助けを求めたが問題にされなかったなどという事が分かるたびにやるせない思いになります。

北海道の冬の寒さの中、電気代もガス代も払うことができず、灯油も購入できないという事態をあるのですから、福祉事務所は電力会社やガス会社、水道局などと連携して調べなければならないのではないかと思います。

私たち自身に置き換えてみても、体調悪化やストレスの増加などが重なれば解決策も考えられなくなるのが常であることから、そのような状態の家庭は外部の力が必要となるだろうと思います。

そのような時に、一番わかりやすいのは水道代の未納、電気代の未納などがあった時に連携ができるようなシステムをつくることが大きな事だろうと思われます。

不安定な仕事をしてきて、家族との連絡も近隣との付き合いもない方が多くなっている現在、どこで起きても不思議でない「孤独死」の問題をはらんでいるような気がします。

家族がいて、家の近辺に友人が多かった母が、うつ病と認知症になった途端に離れていく友人も多く、家族さえも面倒になるのですから、一人暮らしの高齢者の寂しさは計り知れないものがあると思います。

それらの問題を解決するのは家族がいれば家族なのでしょうが、貧困と孤立を抱えた独居の高齢者に政治の力、社会の力が行き渡らなくなった時、今後の日本の行方はどうなるのだろうと思いました。

考えたくはありませんが、その現実は私たちの未来の姿でもあると思うとやるせない気持ちになります。

住み慣れた地域で人間らしい最期を迎えられるようにと言っていた厚生省が、現在は東京は地価が高いから地方に介護施設を建てるなど、ころころと変わる政策を出してくることに、私たちはどのような期待を持てばよいのだろうかと思ってしまいます。


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