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『かたちだけの愛』平野啓一郎著

2010年12月発行なので、発行から10年以上の月日が過ぎています。

平野啓一郎氏の読者となって数年しか経っていないので、最新作を読んだり、初期作品を読んだりと行ったり来たりの読書を楽しんでいます。

著者の作品の中では読みやすい作品になるのではないかと思いましたが、最新作『本心』『マチネの終わりに』などの作品に繋がる愛の小説だと思いました。

『かたちだけの愛』のあらすじと感想

『かたちだけの愛』は、恋愛小説なのでしょうが読者も作者も、ありきたりの題材であるだけにどのように読むかはかなり難しいと思いました。

母親は特別に美人ではなかったが、男の欲情をかき立てるタイプの人で、父親とはうまくいってなく、相良が子供の頃に家を出てしまっています。

プロダクト・デザイナーの相良は、事故で関わった女優の叶世久美子に恋をして愛を得るまでの物語です。

彼女は母親と違ってかなり美人ですが、どこか母親と同じような女性だったことから、母親の気持ちが理解できるようになります。

『かたちだけの愛』のあらすじ

事務所まで響く音で道路に降りてみると、交通事故で、女性の足が車の下敷きになっていました。

そこにいた男は救急車も呼ばずに、相良のポケットに10万円ほどのお金をねじり混み、去ってしまいます。

それが女優の叶世久美子で、腿からしたの足を切断することになります。

叶世久美子はフリングセガアルト言うことから、女性にはあまり人気がないようでした。

彼が懇意にしている、原田紫づ香から自分の病院にいると電話があり、足を切断することになったので、杖と義足のデザインを考えて、技工士と一緒に作ることになり、いつの間にかメールのやりとりで、急接近することになります。

叶世久美子には3年間付き合っていた三笠という恋人がいるが、それは叶世を置いて逃げたような人だし、相良は一度離婚をしていて、お互いに自分を好きになれないもの同士ですが、義足を作っていく過程において付合っていくうちにお互いに自分を見つめ直すことができ、本物の愛を得ることができるのです。

いろいろな人たちに支えられ、叶世久美子はパリコレに義足で出ることになり立派にその役目を果たし、拍手を聞きながらで著者は次のように書きます。

久美の顔には、深紅の唇が鮮やかに咲いたが、それは、時を経てようやく果実を約束された花の喜びに充ち溢れていた。

『かたちだけの愛』まとめ

単行本の233-234ページに恋愛について次のように書いています。

・・・・

恋が、刹那的に激しく高ぶって、相手を求める感情だとするならば、愛は受け入れられた相手との関係を、長く維持するための感情に過ぎない。

その恋と愛の狭間で、2人の人間は、初めて体を交え合う。恋が花であり、花が果実だとするならば、セックスは花を落として、実を結ぶための季節の変わり目である。

この恋愛観が、次の最期の結びにと繋いで小説は終わります。

久美の顔には、深紅の唇が鮮やかに咲いたが、それは、時を経てようやく果実を約束された花の喜びに充ち溢れていた。

母親が浮気を繰返し、自分を置き去りにして家を出て行ってしまったこと、叶世久美子が不倫を重ねているようで、あまり人気がないと言うことから、叶世久美子を恋をし始めたことで母の気持ちを理解し、叶世久美子に対しても心が揺れながらその寂しさを理解し愛となっていったのだと思います。

一生をかけて愛し続けることができるのはほんの少数の人ではないかと私は感じています。

そのような意味から、人は自分の心も分からないし、まして人の心まで分かりようがないと思ってしまいます。

それでも愛は存在すると。

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