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『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』 河合隼雄 村上春樹対談|人間を掘り下げて語る

この対談は1995年11月に行われたものでオウム事件阪神大震災があった年ですの、それらのことにも言及されています。

今から20年も前に行われた対談で、その12年後に河合隼雄がなくなっていますが、現在読んでも少しも古さが感じられないのは人間を深く掘り下げて、語っているからだろうと思います。

私はかなり前からの河合隼雄のファンでこの対談が行われた前の著書を何冊も読んでいましたが、なぜか村上春樹の本はあまり読んでいなかったので、この対談集を読んで村上春樹の本を読んでみようと思いました。

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『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』 河合隼雄 村上春樹対談ー人間を掘り下げて語る

河合隼雄は日本のユング派心理学者の第一人者であり、臨床心理学者で、独自の視点から日本の文化や社会、日本人の精神構造を考察し続け物語世界にも造詣が深く、たくさんの著書がありファンが多いようです。

村上春樹がアメリカにいた時に、やはりアメリカにいた河合隼雄に初めて会ったようです。

その当時の村上春樹は河合隼雄をあまり知らないかったようですが、村上春樹の奥さんが河合隼雄のファンで勧めてくれたと読んだことあります。

その当時村上春樹は「ねじまき鳥クロニクル」という長編小説を書いている時で物語の深い霧の中にすっぽり浸っているような状態であったが、河合隼雄に会って息がすっと抜けたと言っているのは河合隼雄という人についての適切な思いだと河合隼雄のファンの私はうなずくことができます。

河合隼雄の本を何冊も読んでいた私もその著書の中からいつもそのような雰囲気を感じ取っていたことを思い出さします。

河合隼雄の精神世界はとても深く、精神的に病んでいる患者を治していくエネルギーが感じられるが、今回の対談を読んでいて村上春樹の精神性の高さも感じました。

村上春樹が『ねじまき鳥クロニクル』を書いていたころにアメリカで会ったことがあることから、それに触れている部分が多く、読んでいない私には正直わからないこともありました。

しかし、それは夫婦の問題であり、お互いを理解するために井戸掘りをして壁抜けをしていかなければならないという問題であることは会話を読んでいてわかりました。

村上 おたずねしてみたかったんですけど、夫婦というのは一種の相互治療的な意味はあるんですか。

河合 ものすごくあると思います。だから、苦しみも大変深いんじゃないでしょうか。夫婦が相手を理解しょうと思ったら、理性だけで話し合うのではなくて、「井戸を」掘らないとだめなのです。

村上 ぼくも結婚して25年になりますが、それはすごく感じるんですよね。ただ、これまではあまりにもそれが近くに、切実にあるので書けなかったんです。・・・・・・・・・・・・・。

やっと『ねじまき鳥クロニクル』で夫婦というものを書けるようになったんですね。

河合 ぼくはあれは夫婦のことを描いているすごい作品だ、というふうに読んでいますよ。

僕もいま、ある原稿で夫婦のことを書いているのですが、愛し合っているふたりが結婚したら幸せになるという、そんなばかな話はない。そんなことを思って結婚するから憂鬱になるんですね。何のために結婚して夫婦になるかと言ったら苦しむために、「井戸掘り」をするためなんだとというのが僕の結論なんです。

結婚と井戸掘りより

村上春樹は肉体を鍛えている作家のようですが、井戸を掘って壁を抜けるときに体力がないと迫力がなくなるんではないかと言っています。

現在の小説家は体力がないと書けないと言っていることに私がイメージしていた小説家とは違った健康的なものを感じました。

そんな真剣さが作家村上春樹の人気の秘密があり、日本だけでなく世界中に熱狂的な読者がいることに繋がっているのではないかと思いましたし、小説は癒しだと考えてみれば、村上春樹の小説にはそのような魅力があるのだと思わされました。

そのようなことから河合隼雄の精神分析と通じるものものがあると思うが、語りつくせないくらいの河合隼雄の精神的な深も感じさせららました。

河合隼雄の本を読んでいた20数年前から、精神分析に興味を抱いていましたが、私などは自分の精神があっという間にこわれてしまうように感じました。

精神分析をしていて治っていくときにものすごい偶然が起きて治っていくという事があるという事はこの世の中は科学や普通の生活などからは考えらえないような世界に私たちは住んでいるのではないかと思わされます。

河合隼雄の世界は私たちの常識を超えたところまで掘り下げているので、何度読んでも面白いし、人間の深さを教えられることが多くもっと読み込んでみたいと思いました。

また、あまり読んでいない村上春樹のの小説も読まなければという思いが強くなっています。



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