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『約束』 夜回り先生水谷修著ーつらい出会いをした亜衣がエイズで亡くなるまで

夜回り先生が、磁石で吸い寄せられるように出会ったという、亜衣は中学受験のすべり止めまで失敗してお母さんの「あんな学校まで落ちるなって、あんた、いったい誰の子なの」という言葉に傷ついたまま公立高校に行くことになりましたが、入学式の前には茶髪になり、母親にまた叱られた。

傷ついた亜衣は入学式の前に手首をナイフで切り、母親は慌てたが亜衣は荒れていきました。

ドラッグ、大麻、体も売って夜の街をさまよって荒れていた亜衣だが、心は寂しさでいっぱいでした。

そんな亜衣が中年男とモテルに入るところで、声をかけてきたのが夜回り先生でした。

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夜回り先生と出会って寂しさをすべて吐き出した亜衣は家族との関係を修復させる

夜回り先生の持論は「子供が荒れるのは大人が悪いので、子供の罪ではない」という思いを持っているので子供を責めるようなことは何も言いません。

寂しさでいっぱいだった亜衣はすぐに電話をして夜回り先生に会ってほしいと頼み、話すことで汚い過去が消えるのではないかと思いながら、それまでのすべてを話しました。

夕暮れまで話を聞いてくれた先生は家に一緒に行って両親に会い、亜衣の寂しさや苦しんできたことを話し、たくさんたくさん愛してくださいと言って名刺を渡して帰っていきました。

そんな先生は夜の街にたむろしている少年、少女から慕われているので、亜衣が元に戻らないように元の仲間から離れるように手を尽くしたので、亜衣は学校に戻り家族に愛されて生活できるようになったのですが・・・

母親にも相談できないある体の異常を夜回り先生に訴え、夜回り先生が知り合いの病院に連れて行って診察した結果、エイズに感染していることがわかったのです。

家族、夜回り先生、ドクターとの話し合いの結果、家族は亜衣に話さないことを願ったのですが、エイズと闘っていくためには日常生活も変えなければならないし、投薬も受けなければならないので隠しとおすことはできないという理由で亜衣に話しすことになりました。

しかし、中学生の亜衣には耐えられないことだったのです。

エイズをうつした大人に復讐するために、夜の街に逆戻りしてしてしまった亜衣を9カ月彷徨い、声をかけた相手が警察官だたことから戻ってくることになりました。

心の中では戻ってきたいと思っていた亜衣は心を入れ替え、高校受験に向けて猛勉強してキリスト教のミッションスクールを受験、合格して幸福な家庭と充実した高校生活を送っていたのですが、とうとう発症してしまったのです。

エイズ発症で入院治療を余儀なくされた

家族が付ききりで介護してくれる中弱っていく亜衣だが、家族の愛以上に夜回り先生を慕う心は大きくなっていくが、夜回り先生は弱っていく亜衣を見るのがつらくて病院に行けませんでした。

ドクターに亜衣が心待ちにしていると電話をもらって、やっとの思いで亜衣に会いに行った時に、今後私のような子供が一人でもいなくなってくれるように、講演会で話してほしいと頼まれます。

出版間近かな本を亜衣に読んであげた時には、本に書いてほしいと頼まれます。

亜衣っていう馬鹿な女の子がいて、親の一言でふてくされ、中一で派手な格好で夜の世界に入った。

夜の世界で乱暴され、体を売らされ、エイズになった。

そしてもだえ苦しんで死んでいったことをみんなに伝えてほしいんだ。

特に後輩たちに伝えてほしくって、二つのことを言ったよね。

一つは人の美しさは、外見じゃない。髪の色や派手な化粧や着飾った洋服なんかじゃない。

その人の生き方や心の中にある、やさしさだってこと。

もう一つは、夜の世界はうその世界。傷ついた者同士が、お互いにすがりあって、つぶされていく世界だってこと。

幸せなんて、これっぽっちもない。幸せは昼の世界にしかないって。

もしも、先生の話す亜衣の話を聞いて、夜の世界から昼の世界に戻ってくれる子が一人でもいたら、私が生きていたことが、意味のあることになるもんね。

本文中の亜衣の言葉より抜粋

病状が悪化して、苦しみに耐えきれなくなっていく亜衣に麻酔薬の投与が始まりたが、麻酔薬も効かなくなり苦しみながら旅立ちました。

亜衣のの短い人生に精魂込めて立ち会った夜回り先生に、ご両親は講演で話すことは許してくれましたが、本にすることは許してもらえませんでした。

そして講演を聞きに行ったという両親に10回目の命日に本を書くことを頼まれ、3年間かかって書いたのがこの本です。

人の人生にかかわるということは、自分も傷つくことになります。それでもかかわることを止められない優しい夜回り先生のおかげで、どれほど多くの子供たちが救われているのだろうと思いました。

この本は2015年6月15日に出版されたばかりで、亜衣が亡くなって13年もの歳月が過ぎていますが、お子供を持つ親にも、子供たちにも読んでほしい本です。

13年前は携帯電話を持つ人が増え始めていた時期で、今のようにスマホで簡単に連絡を取ることが難しい時代でした。

連絡手段が多い現在はもっともっと子供たちが危険な状態の中に置かれていると思われます。

このような悲しい思いで若い命を失っていくことのないように大人たちが気を付けなければならないのかもしれません。

私は読み始めから涙が止まりませんでした。


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