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『1Q84』村上春樹著ーリトル・ピープルとは

2019年8月6日

1Q84

『1Q84』は2009年5月29日発売の村上春樹の12冊目の長編小説で、「毎日出版文化賞 文学・芸術部門」受賞しています。

いつも感じることですが、村上春樹の作品は奥が深いのですが、とても読みやすい独特の文体で読者を小説の世界に引き入れてくれます。読者の知識、思想などにより理解できることあるために、読後感は読者によって異なるし、いくつもの視点があるので何を求めて読むかによって読後感は変わってくるのかもしれません。

村上作品は、現生からいろいろな世界に移行する手法が多く取り入れられているが、読みなれると違和感がなく読み進むことができるのも不思議な感じがします。

世界はそれほど単純ではなく、様々な事象が入り組んでいることを忘れてはいけないのだというということを示唆しているようです。

『ねじまき鳥クロニクル』では、別の世界への出入りうちは「井戸」だったが、『1Q84』は、高速道路の路肩の非常用の階段になっているようです。

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『1Q84』あらすじと読書感想

小学生の時の同級生でたった1度だけ手を握り合った青豆と天吾は30歳になった今もお互いに忘れられずに、それぞれ別の生活をしながらも孤独な生き方をしています。

青梅は両親が「証人会」の信者で、歩けるようになってからは両親と一緒に布教活動をして、給食を食べる前にはお祈りをしなければならず、学校の行事にも参加できないことが多かったために孤立し、いじめられていました。

天吾は成績もよく、運動もできたために仲間はずれにはならなかったものの、父親の仕事である、NHKの集金に父親と一緒に歩かなければならなかったことがとても苦痛でした。

青豆は転校し、その後のことは互いにわからなかったのだが、二人ともスポーツをして寮生活ができたために、家を出て子供のころから親とは離れて孤独な生活を送っていました。

そんな二人が、月が二つ見える世界に入り込み、様々なことに巻き込まれながらも、お互いを探し出して、元の世界に戻ってきた物語です。

『1Q84』あらすじ

地下鉄サリン事件が起きたオウム真理教のことを思い出すような宗教団体のことを書いているが、それは70年安保の大学闘争に飛び込み、大学から解雇された深田保が家族と元学生10人ばかりでコミューンのような組織を作り共同生活に入り、有機野菜を作っていたグループ「さきがけ」が、宗教法人を作り巨大化していきましたが、「深田保」の娘の深田絵里子が「リトル・ピープル」を導き入れ、「知覚するもの」となり、深田保が「受け入れるもの」となり宗教としての要素が整い宗教法人となったようです。

小説は「青豆」と「天吾」の関係性はわからないままにお互いの物語を綴ってっていく書き方で、2巻まで書かれますが、3巻にはそこに、「牛河」が入ってきます。

青豆がある仕事のためにタクシーで首都高速に乗ったが、混雑のために車が進まず、運転手に高速道路から降りる非常階段のようなものを教えてもらいそこから目的のホテルに向かい、特別に作った針のようなもので、そこに滞在している人を心臓発作のように殺し立ち去りました。

その人は、妻にかなりひどい家庭内暴力をふるっている夫で有能だが、解決策がないために青豆が、スポーツクラブで知り合い、個人講師を頼まれている老婦人からの依頼からの仕事でした。

外傷もなく苦しんだ様子も見えなかったことから、心臓発作というように診断されたようで、どこにもニュースは出ませんでした。

青豆はスポーツクラブのインストラクターとして筋肉トレーニングとマーシャル・アーツ関係のクラスを担当して、そこで知り合った「柳屋敷」の老婦人で、所持しているアパートに、家庭内暴力を受けている夫人たちを保護していました。

自分の娘が家庭内暴力の夫から傷を負わされ、自殺に追い込まれているという過去を持っていました。

天吾は小説家志望で予備校の講師をしながら、文芸誌の新人賞の下読みの仕事や、署名のない文筆の仕事をしていたが、新人賞に応募してきた、17歳のふかえり(深田絵里子)の「空気さなぎ」という荒い文章だが人を引き込む力のある作品を見つけ、編集者の小松に推薦します。

小松はそれを、天吾に書き直すように言い、興味を覚えた天吾は書きなおします。その小説は新人賞を取りベストセラーになり、爆発的に売れたが、その後いろいろな問題がおき始めます。

その小説を書いたふかえり(深田絵里子)は、宗教法人のリーダー深田保の娘ということで、10歳の時元文化人類学者で、深田保の友人の戎野隆之のところに訪ねてきたということでした。

その時は話すこともあまりできず、とても変だったようですが、現在のふかえりも文字を書くことや読むことにはとても時間がかかるというが、それでも少しはよくなったということでした。

天吾と青豆は、いつの間にかどこか違った世界に住んでいるのを感じるようになっていたが、お互いの距離が少しずつ縮まっていくのを感じるようになります。気が付くと月が二つある世界に迷い込んでいたのです。

ふかえりが応募してきた小説は、ふかえりが戎野の娘アザミさんに語ったものを、書き取りワープロで打ったもののようでした。

「空気さなぎ」はふかえりが本当に見たことのようで、世話をしていたヤギが死んでしまいヤギと一緒に閉じ込められた部屋で見た、ヤギの口から出てきたリトル・ピープルが夜ごと空気さなぎを作り、その中から出てきたのが、深田絵里子。

空気さなぎから出てきたのはドウダという深田絵里子の心の影であり、マザの代理をつとめる。ドウダを失えばマザは心の影を失うことになると、リトル・ピープルに教えられます。

ドウダは知覚するものであり、知覚したことを父である深田保というリーダーのレシヴァに伝える役目をすると教えられます。

驚いた深田絵里子は、父が彼女にこっそりと与えていたお金と逃げ場所を書いた紙を取り出して、戎野のところに逃げてきました。ドウダを残したまま。

柳屋敷の老婦人はレイプを受けたつばさをかくまていたが、いつの間にかシェパードの死をきっかけにいなくなてしまったことから、あるルートを使い教団を調べた結果、リーダーが10歳前後の少女をレープしていること、最初は自分の娘であり、ということはふかえりであり、その後ふかえりは戎野の家に来たことになりますから、犯したのは心の分身であるふかえりのドウダということになります。

4人のうち最後がつばさであることを突き止めていました。そのようなことから青豆はそのリーダーを苦しむことなくあちらに送ることを頼まれます。

治療のためにリーダーが筋トレの治療を待つホテルに行き、治療を行い、分からないように針で、あちら側に送ろうと思ったが、リーダーは何もかも承知で死を望んでいました。

青豆がリーダーを殺さなかったら、天吾は生きていられないだろうし、殺せば青豆が生きていられないだろうといわれ、青豆は天吾を生かすために殺すことに決めます。

殺害後、青豆は老婦人が用意してくれた隠れ家のマンションにこもることになります。生活用品は補充してくれ、のちにはもっと安全な場所に整形をして移り住むことになっています。

謎の多いリーダーの言葉は青豆には衝撃でした。用意されたマンションで青豆は「空気さなぎ」を読み込み、リーダに侵されたつばさはドウダであった可能性が高いこと、娘の絵里子はドウダであったことなどを理解し、リーダーの近くに巫女として仕えているのはドウダであることなどを理解しますが、柳屋敷の老婦人には伝えることができませんでした。

教団から頼まれた「牛河」はふかえりの「空気さなぎ」を書き直した天吾が狙われていますが、その後はリーダーを殺した「青豆」が狙われることになります。

2人は20年も会っていなかったのですが、青梅と天吾はお互いに忘れられないでいると宗教法人のリーダーに教えられた青豆は、天吾とどうしても会いたいという思いを強くなります。

ふかえりから、青豆は近くにいると教えらえた天吾は探しはじめ、遊園地の滑り台にのぼっていたところを青梅が見つけ、走って向かいましたが、過ぎ去った後でした。

天吾と青梅は何かに引き付けられるように近づいていたが、宗教法人から頼まれた「牛河」がかぎつけて徐々に追い詰めています。それを知った柳屋敷の老婦人の使用人タマルが「牛河」を殺し、教団に引き取りに来るように伝えます。

青梅はタマルに頼んで、天吾と会う手立てを作ってほしいといい、滑り台の上で出会い、「1Q84」の入り口だったと思える、高速道路の路肩を降りてきたところを上ることにより「1984」の世界に戻ることを思いつい同じ洋服を着て2人でよじ登ります。

首都高速は降りたときのように混雑していたが、客のいないタクシーがいたことで、元の世界に戻ることができ、天吾と青梅は月の見えるホテルに泊まりました。

そこには月はひとつだけ輝いていました。

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『1Q84』感想

我々の生きている世界にとって最も重要なのは、善と悪の割合がバランスを取って維持されていることだ。リトル・ピープルと呼ばれるものが善であるのか悪であるのか、分からないと宗教法人のリーダーが言います。

それはある意味では我々の理解や定義を超えたものだ。我々は大昔から彼らとともに生きてきた。まだ善悪なんてものがろくに存在しなかったころから。

光であれ影であれ、その力がふるわれようとする時、そこには必ず補償作用が生まれるということだ。この場合、私がリトル・ピープルなるものの代理人となりになるのとほとんど同時に、わたしの娘が反リトル・ピープル作用の代理人のような存在になった。そのようにして均衡が維持された。

最初にリトル・ピープルなるものを導き入れたのが娘だ。彼らはあるとき暗闇の中から現れ、娘を通してこちらにやってきた。そして私を代理人とした。娘がパシヴァ=知覚するものであり、私がレシヴァ=受け入れるもの=声を聴くものとなった。私たちにはたまたまたまたまそういう資質が具わっていたようだ。いずれにせよ、彼らがわたしたちが見つけた。わたしたちが彼らを見つけたのではない。

この部分は青豆にリーダーが話したことだが、この小説の中で示唆を含んでいる言葉であるとともにこの世界の真実を語っていると思いました。

リトル・ピープルとは、天使あるいは悪魔のようなものなのだろうか。または鬼のようなもの、源氏物語の中に書かれている六条御息所が生霊となって葵の上に仇をなした霊のようなものなのだろうか。

また、深田絵里子を介して天吾の子供をみもごった青豆からはどのような子供が生まれるのだろうか。

とても謎の多い物語だが、謎は謎のままに受け止めておくことが読者としての楽しみなのだろうと思いました。

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