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『生きるための論語』安富歩著

生きるための論語

論語は東アジア最重要の古典で、中学か高校でほんの少し学ぶことになっています。

紀元前に生きた、孔子と彼の高弟の言行を孔子の死後、弟子達が記録した書物ですが、秦の始皇帝の儒教弾圧で、『論語』本文は失われてしまったようです。

しかし、生き残った儒者が口承で内容を伝え、これが現在の『論語』の原型になったということで、長い年月の間研究が行われてきたので、様々な解釈があるようです。

生きるための論語を読む

安富歩氏は論語を生きるためにという副題をつけています。

私は漢文を正確に読むことも理解することも出来ませんが、この本は漢文が読めなくても、論語という孔子の教えをどのように読み解くかを文献を元に現代の生き方を作者独自の読み方で私たちに説いてくれています。

これほどの古典ですから、世界中の学者が研究テーマにして様々な読み方をしているようです。

私は教科書からの読み方以外は知らなかったので、読み始めからとても新鮮で、古典とはこのように読むものなのだと感動を覚えながら読み始めました。

歴史を考えてみても、人が生きると言うことは、根本的にはそれほど異なっているとは思われません。

そのようなことから、数千年前の教えを今に生かして生きることを考える著者の論語の読み方をとても新鮮に感じました。

複雑な世の中でその時代を生きていても、私たちが現在どのように生きれば幸せになれるかは、古典をひもとくことによって得ることが多い気がします。

著者の書いたものは数冊読んでいるので、その考え方はある程度理解が出来ますし、その生き方に納得できることも多いので、その考の下に複雑な現在をどのように生きることが望ましいのか、その心理を考えながら論語の本文に沿って読み解いていく方法に引き込まれていきました。

私たちが教わった論語はもっと堅苦しいものでしたが、それを生きるために大切なところまで古典を読み解く柔軟な思考と考察に今までの古典の読み方とは違ったところまで深く読み込んでいたことで、孔子の考えが数千年の時を隔てて私たちに教えてくれるのを知りました。

分断の時代と感じざるを得ない今の時代に、少しでも多くの方に読んでほしいと思いました。

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