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『日本の男を食い尽くすタガメ女の正体』ー深尾葉子著

著者の深尾葉子さんは、大阪大学大学院 経済学研究科准教授です。安富歩 東大教授との共著もあり、興味を抱いたので読んでみたいと思って購入し、読了しました。

1963年生まれの著者が、2013年に発行しているので、専業主婦が多かった、その頃の年代の社会現象なのでしょう。

そして、今の社会の覇気のなさを見るにつけ、なぜこのような政治家や官僚ばかりになってしまったのか不思議に思っていましたが、著者はこれらの現状をタガメ女とカエル男に当てはめて書いています。

この本は表面的な読み方をしたら、とても面白くない本に見えるでしょう。要は私もそうですが、自由に育てられた人にはわかりにくい本なのです

学歴社会の中で、ここに書いてあるようなタガメ女とカエル男の家庭に育った人以外には、よほど想像を働かせないとわかりにくいのだろうと思いました。

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『日本の男を食い尽くすタガメ女の正体』のあらすじと感想

タガメとは、50から65ミリの水中昆虫で、クワガタの角のような大きな前脚がが特徴で、水田に生息していて、かえるや魚を獲物にしていると言うことです。

結婚した男たちを「ガッチリと箍をはめられて、タガメ女にチューチューと血肉をを吸われてみるみる痩せていくカエル男。その大群が無表情で満員電車に乗って生気のない顔で働き、また血肉を吸われに家路につく――と書いています。

私はこの本を読了した後、とてもつまらない本だと思ったのですが、今の社会の問題点を鋭く突いている本だと言うことがじわじわと分かってきたのです。

女性の地位だとかそんな生やさしい問題ではなく、現在の社会の上層部で働いている方が、タガメ女に育てられたためにいつも現実から目を背け、自分の頭で考えられない人を量産してしまった問題点を突いていることに気が付いたのです。

第1章 日本を覆い尽くす「タガメ女」の脅威

戦前の結婚はほとんどがお見合い結婚であり、農家に嫁げば農作業をし、商店に嫁げば従業員、経営者として働くのが当たり前だったのですが、戦後の高度成長期の中で多くの人がサラリーマン化していきました。

そのようになった頃、恋愛結婚が普通になったのだが、それが自由のなものではなく、より高度な複雑なルールへと進化したと言います。

自由に恋愛結婚が出来るようになったかに見えるものがそうではないと考えるきっかけになったものが、徐々に結婚しない男女が増えていったことと関係があると書きます。それが箍であると結論づけていきます。

現在の結婚は恋愛結婚などではなく、結婚の条件に学歴、職業などから選び、ニュータウンに庭付き一戸建てをローンで購入、少量のお小遣いで箍をはめて支配し、支配されることになれきった男を量産していると言います。

そんなカエル男たちがつくる社会が、現実から目を背けた欺瞞的な社会になると結論つけています。

第2章 タガメ女に吸い尽くされる男たち

ここでは、タガメ女の見分け方などを書いていて、カエル男はプロポーズされるように仕向けられるようなことが書いてあり、カエル男の見極め方と実態がかかれています。

この本が書かれたのは契約社員などが増えた頃だと思いますが、ニュースなどで、結婚相手としては男性の収入に比重を置いている女性が多いような報道を見た記憶があります。

第3章 かえる男を支配する女たち

この章ではタガメ女の見極め方がかいてあり、前章と同じようにタガメ女チェック度を見ることも出来いるようになっています。

その上で、タガメ女イコール、専業主婦ではないとも書いています。

大雑把に言えば、規則を夫にも子供にも守らせ、家族旅行に行き、ママ友と同じようなものを持ち、均質であることを好む女性のことのようです。

その上、近所からどう思われているかとても気にしていると書いています。

第4章 こうしてタガメ女は「害」をまき散らす ~黒い報告集~

表題にもあるように、この章はタガメ女とカエル男が何かのきっかけで問題が起きたときのことを実例をあげて書いています。

どのような結婚であれ、多くは何かしらの問題を抱えていることも多いと思います。

利害関係から結婚したのであれば、思ってもみなかった自体に出会うこともあるでしょう。

第5章 「ママ友地獄」という”タガメ女たちの共食い”

タガメ女は知らず知らずのうちに社会に悪影響をもたらします。箍をはめられていることに絶望してカエル男が死を選べば、タガメ女も生活の手段を失います。

箍をはめられることを恐れて、カエル男の多くが「未婚」と言う道を選んでもタガメ女を「エサ不足」で苦しめています。

それが仲間にも向けられると「ママ友」トラブルになり、社会問題化しています。ママ友には身分制度があり、同じようなものを持ち「均質」というものを好むようだと言います。

少し違和感があると誘われなくなると言うことです。「ママ友」にも階層があり、グループ分けには所有物が影響していると言います。

夫にも「箍」をかけ自らにも「箍」をはめ、そのはけ口は我が子の虐待になります。

「箍」をはめられた多くの子供は諦めて「約束を守る」ようになり、父のようなカエル男になりますし、女の子の場合は母のようなタガメ女になります。

関係ないと思っていた私は、このタガメ女とカエル男の再生産に、現実の社会の凝縮を見ているようでぞっとしました。

中には「箍」をはめられた憎悪を社会での無差別事件やホームレス襲撃事件に繋がっているとみています。

第6章 タガメ女が日本経済に与える影響とは

タガメ女は大学や短大を出て、働いていた時期があり、その消費は引き継がれていますが、収入が減った家庭の主婦は倹約して、子供の「習い事」に付き合い、ママ友との会合に付き合わされる子供たちに自由はなく、付き合う子供たちにも「箍」をはめてしまうのです。

その上、リーマンショック後の厳しい時代を経験したタガメ女はひたすら倹約に走るようになってしまいます。

現在の状況はよく分かりませんが、収入○○円でどのくらい貯蓄したという本が売れていたのは覚えています。

多分、現在は年収の多い人以外は女性も働いているのだろうと思っています。消費なくして経済成長はないので、政府も最低賃金をあげるように頑張ってほしいと思っています。

第6章 タガメ女の意外な故郷

夫や子供にも「箍」をはめる一方で、自らにも「箍」をはめてしまうタガメ女の消費動向はデパートだと言います。

そして、タガメ女の増殖を助けたものは郊外のベットタウンであり、このビジネスモデルを定着させたのは「私鉄沿線ビジネスの祖」といわれる阪急当方グループの創始者、小林一三氏だとされているようです。

デパートのモデルは、イギリス・ロンドン、郊外住宅に住み、ショッピングモールに出かけるライフスタイルはアメリカから輸入され、欧米文化がモデルになっているとのことです。

アメリカでは日本より以前、「青い瞳のタガメ女」が、特に東海岸には溢れていたので日本の高度成長期タガメ女が現れたころ、すでにそのロジックは確立していて、『トータル・ウーマン―――幸せな結婚を築く秘訣―――』にマラベル・モーガン氏が書いています。

『奥様は魔女』は日本でも放映された大人気になったようです。自らが「箍」をはめていたとと思っていたら、自分自身も自由を奪われていたというジレンマ。社会から取り残されているという焦り。そこにはすさまじい破壊力が備わっているようです。

近年、「鬼女」と呼ばれているのがタガメ女であると仮定するととてもうなずけるという著者の言葉に私も納得しました。

そして、タガメ女が現れてきたのは、当然の現象だと著者は言います。次から次へと自殺しているカエル男や「箍」をはめられた怒りを持て余しているカエル息子、タガメ娘だけではなく、「箍」を作り出しているタガメ女たちももはや限界なのだと説きます。

タガメ女を加害者として紹介してきた著者は、カエル男も「箍」を利用し、タガメ女を巧みに利用して、死ぬまで「妻」と「母」として飼い殺し、タガメ女の被害者と言うよりは「共犯者」と呼ぶのがふさわしいと書きます。

まとめ

著者が「おわりに」に書いているように、タガメ女や、カエル男にならないための秘訣として次のように言っています。

「ひとりひとりがが自分の頭で考えて、自分の魂と向き合って正直に生きる」こと以外に方法はないと言うことです。

それには、母親と父親が、自分の力で考えることが出来る子育てをする必要があるのではないかと思います。

子供は生まれたときから親とは別人格ですし、育てたことのある人だったら分かると思いますが、ものも言えないときから意思を持っています。

子供を伸ばそうと思ったら、その子が持っている能力を最大限引き出すような育て方をする必要があるし、大人になってから見えてくる能力をも自分で見つけることが出来るのような育て方を出来ればと思います。

多くのことを経験することにより、人間は本当に自分のしたいことを見いだし、幸せに生きられるのではないかと思いました。かなり難しいと思いますが子育てを急がず、ゆったりと見守っていくほかはないのでしょう。

ただ、生きることは、それほど生やさしいことではありませんが、自分の選んだ生き方だったら、強いられる生き方よりは良いのだろうと思いました。


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