スポンサーリンク


広告 本・読書感想・映画

『社会という荒野を生きる』宮台真司著ーニュースの社会学

首都大学東京教授で社会学者である宮台真司さんが、TBSラジオ『荒川強啓ディ。キャッチ!』の金曜コメンテーターになった1995年5月7日から20年半の間の放送を文字起こしするというかたちでできあがった本と言うことのようです。

その直前に地下鉄サリン事件があり、その後東日本大震災、そしてコンピュータ全盛期となり、社会の中では様々な事件が起きています。

わたしもそんな時代を生きてきたわけですが、読みながら改めて振り返ってみると、当時のことが思い出されると共に、社会がかなりの勢いで変わってきたのだと考えさせられました。

『社会という荒野を生きる』から見えてくる社会の動きと、進む社会の分断

日本の高度成長期が終わり、経済が下降して貧富の差が激しくなってきている時代の様々な問題を捉えています。

社会学者である著者の目から見た日本の現状がかなり見えるように書かれていて、日々の生活に追われて忘れがちな問題を思い起こさせられました。

そして、その中にあったときには見えなかったものも、時間の経過と共に見えて来たことで社会のうごきと現在の分断の社会を生きていることを切なく感じることになりました。

第1章 何故安倍政権の暴走は止まらないのか

憲法を無視して、多くの反対デモの中で通したした安保法制はアメリカに約束したから通さざるを得なかったと言う。

何時までもアメリカの言いなりの安倍政権を批判していますが、それだけ総理にとってアメリカの言いなりになっていることは自分を必死で守ったとしか言いようがありません。

そして、それを止められなかった野党のふがいなさを指摘しています。

安倍政権になってから、与党も野党も本当に情けないとわたしも思っています。

安倍政権のやりたい放題を止められなかった野党とは何なのでしょうか。

現在に至る野党の動きを見ていても情けない気持ちでいっぱいです。

今の自民党の政治を変えない限り、日本に未来はないと思うのですが、そんな政治を少しでも動かせるだけの野党勢力が育ってほしいという思いはなかなか通じないようです。

なぜ三島由紀夫は愛国教育を徹底的に否定したのか

三島由紀夫が自害したことはかなり難しい問題だと思っていましたが、いろいろな書物を読んでいるうちにおぼろげながら分かってきたことがあります。

三島由紀夫は天皇主義者の右翼ですが、安倍総理を中心とした右翼とはまるで異なっっているように愛国主義を徹底的に否定し、アメリカからの独立を願っていたのだろうと思います。

ここでは沖縄基地問題、阪神大震災や東日本大震災におけるボランティアの問題、原発の問題などに関わった政府、原発と原子力問題について書いています。

原発と、原子力利用のなど日本には山積みになっている問題が数多くあります。

空洞化する社会で人はどこへ行くのか

頑張って偏差値の高い大学、知名度の高い会社に就職しても達成感が得られないと感じる人が多くなっているのが今の社会です。

社会から承認されるはずだったのにそれが得られない人が多くなってきたことで、認められるような場所、ISILのような組織に世界中から人が集まっていると言います。

オウム真理教もにも優秀な人が心の支えを求めて入って行くのはそのような心理だと書いています。

共同体空洞化とネット化は90年代以降入れ違いに進み共同体で認められない人がネットで目立つことで承認を得ようとしている背景があるのだろう書いています。

「明日は我が身」の時代を生き残るために

現在置かれている時代を例に性愛、仕事、教育で何を守り、何を捨てるのかを考えます。

終身雇用、契約社員、ブラック企業の問題など、今後の働き方、よるべき家庭の問題を突き詰めると、人と深く関わりたくない人が増えたことにより、深く愛することができなくなり、家庭を持ってもコミニケーション不足になりやすいと言う問題を投げかけます。

それには、男性も育児に積極的に参加し、仕事はほどほどにプライベート空間でホームベースを重視することを薦めています。

コロナ禍でますます分断が進む社会の中で温かい場所があれば、生きていることが楽になるかもしれないと思いながら読みました。

この本は2015年発売なので、まだコロナが無かった時代ですが、今はこの本の発売時より、分断が進み生きにくい社会になっているのだろう感じています。

関連記事(一部広告を含む)

お越しいただきありがとうございます。不備な点、疑問点、間違いなどありましたらお手数でもお問合せよりお知らせ頂ければ嬉しく存じます。


スポンサーリンク

-本・読書感想・映画
-