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『誇りを持って戦争から逃げろ!』中山治著

著者の中山治氏は1947年生まれですから、戦後の混乱期から戦後の高度成長期の団塊の世代を生きてきた心理学者で、日本人の国民性、日本文化論に基づいた日本の社会変革についての研究を重ねていると言うことです。

『誇りを持って戦争から逃げろ!』は2006年に発売されたので、今から15年前になりますが、憲法改正論は衰えず、政治は腐敗を極め、コロナが世界を襲い、とても生きにくい時代になっています。

いつ何が起こるか分からないような現在を生きている私たちに、憲法改正や米中の問題などがあり、安穏と生きていけない現状は、この本が書かれた時代よりも後退していると思わざるを得ません。

著者が書いているような日本人の国民性を嘆かわしいと思わざるを得ないほど、右派、左派との分断や歴史修正主義の国会議員、モラルの見えない国会討論が行われています。

もはや、太平洋戦争で悲惨な思いをした人たちがほとんどいなくなってしまった今、そんなことがなかったかのようにさえ思っている人たちによるヘイト問題も大きくなっています。

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『誇りを持って戦争から逃げろ!』のあらすじと感想

著者は心理学ということで、正確な歴史に基づきながらも、戦後の社会を日本人のそして、世界の国々の人々についてその時々の国民的な捉え方を分析して書いていることから、私たちがこれからの時代をどのように生きたらよいかを導いてくれているように思いました。

第一章 庶民はだまされて戦争に行く

著者は、左翼全盛時代に右翼に走り、脱政治イデオロギーになったと言うが、この本は右翼的風潮に反発して、憲法9条改憲反対の立場から書いて入ると言います。

何も考えないで生きていると日本は独立国のように見えませが、日本はアメリカの属国であることを知らなければならないのです。戦後75年を過ぎた今もアメリカに支配されているのです。

アメリカの軍産複合体はアメリカの庶民を情報操作で繰り、海外で必要のない戦争を引き起こし利益を得ています。ベトナム戦争やイラク戦争はその典型で若者がいくら死んでも自分たちの利益になれば冷酷になれる国民性だと言います。

ここで謎が多い三島由紀夫の自決問題に触れています。三島由紀夫は憲法を改正し天皇を頂点としたアメリカから独立した日本を作ろうとして自衛隊に呼びかけたのだがそのクーデターはアメリカと通じていた自衛隊によって潰されたといいます。

アメリカは日本を2度と戦争の出来ない国にと決めていたが、朝鮮戦争が起きたとき日本の自衛隊を補助兵としてして使おうと憲法改正を持ちかけただが吉田茂は憲法改正をして正規軍を持つことを拒否し、その状態が今に続いているようです。

日本は米中の狭間にあり、どちらについても悲惨な目に遭うので、スイスやスエーデン、オーストリアのような武装中立国になるのが理想だと著者は書いています。

第二章 戦略思考から見た9条改正のリスク

米中は太平洋を挟んで鋭く対立するかもしれない。そのとき日本が憲法改正をして戦争が出来る国になった時、どちらの国も日本を意のままにしようとし、どちらかに巻き込まれたときは日本の庶民にとっては大変なことが起きます。

だから武装中立国でなければいけないと。先の戦争のように、理性でなく戦争は起き誰もが止められなくなってしまうのは歴史を見れば明らかです。

米軍はアメリカの国益のために日本にあるのであって、日本を守ってくれることなどないのです。それよりも憲法改正を迫ってアメリカの補助兵として役に立てようとしていると言うことは忘れてはいけません。

しかし、憲法改正しても、庶民がだまされない一つの手は逃げることだと言うが、私にはこれについては誰もが出来ることではないと思ってしまいます。

第三章 「戦争放棄」は庶民の伝統

三島由紀夫ほどの愛国心を持った人間は今の時代にはいないこと、現在の右翼指導者は戦争になれば国民をみすててにげること、太平洋戦争でも兵を置き去りにして逃げた指導者も多く、国民をあおり帰りの燃料のない飛行機で突撃させた指導者など枚挙にいとまがありません。

日本は昔から武士が戦い、庶民は戦うことがなかったのです。歴史から鑑みて馬鹿な指導者の元に若い命を奪われた矛盾を考、国民はだまされることなく、戦わない道を選べと書いているが、それがどのように出来るのかは著者も想像が出来ないのだろうが、とにかく逃げろと説きます。

ほとんどの戦争は指導者のもっともらしいことを述べながら、自分の利権を考えて行っていると言います。アメリカでは何度もの戦争の中で国民がその馬鹿らしさを知ってしまったゆえに、日本の憲法改正をして自衛隊を補助兵として使おうと考えているのがアメリカなのだと言います。

第四章 応援愛国心と戦争愛国心を混同するな

日本は太平洋戦争で300万人を超える死傷者を出したが誰も責任をとっていないことからも明らかなように、戦争が起きて戦ったときに責任をとってくれる指導者などいないのです。

現在の教育は少しずつ戦争愛国心とも呼ぶべき愛国心を教育の現場に持ち込んでいるように見えたならない。そのような教育の現場を糺すのは大人たちであることを国民は知るべきです。

著者の年齢の人はマッカーサーのマインド・コントロールをうけている人が多いと思います。私もまだまだ封建社会であったが、そのような教育を受けて育ったのだろうと思っています。

自由と民主主義であれ、国家社会主義であれ、共産主義であれ、国家神道であれ、政治イデオロギーはすべてマインド・コントロールだと書きます。

どのような国家像であれ、それが本当にそうなった姿を誰も見たことがありません。共産国家であれ、社会主義国家であれ、資本主義であれ、新自由主義であれ、それが本当によいものだと思えた時もありましたが、それが不完全であることを私たちは見てきています。

政治イデオロギーは現実との矛盾や破綻が出ます。それを埋めるためにはマインド・コントロールが必要で、愛国心もそれに漏れません。より強い国になろうと、愛国心でマイルド・コントロールさせた国民を戦争にと駆り立てるのです。

私たちは、戦争愛国心をマインドコントロールされることを防ぐためにも理知的にならなければならないと思います。

第五章 人間を虫ケラ以下にする「無限小の倫理」

世界が国民国家像が衰えてEUのような連合体になるまで、日本は中立国でいることが望ましいと言う。日本は明治以降西洋列強の帝国主義をまねて帝国主義の模倣をして大成功を収めた結果、帝国主義としての才能があると勘違いして泥沼に足を取られたのが昭和の戦争だと認めざるを得ません。

そのようなことからも憲法は変えてはいけないと著者は言い、多神教の日本人は一神教の国のように強くはなれないことを自覚しなければならないといます。

イスラムのような一神教の国の神アッラーは全能であり能力は無限大なので、無限大の能力と深くすれば、人間との能力差などゼロとみなすことが出来るようます。

全能の神は死んだ人間もよみがえらせることが出来き、最後の審判の日にアッラーはすべての人間をよみがえらせる力があるのでイスラム教徒は自爆など怖くはないのです。

現在も憲法開戦論がかしましいが、改正してしまえば、日本の自衛隊はアメリカのために戦うことになります。著者は憲法改正しても戦争になったら誇りを持って逃げろと言います。

第六章 イデオロギーのススメ

三島由紀夫はアメリカの属国である限り、自衛隊はアメリカの傭兵になると警告しました。しかしその後も日本はアメリカの属国であり続けています。そうで、9条を改正すればアメリカのために戦うことになります。

今までも、日本は九条があったために戦争に巻き込まれない出来ました。日本の憲法こそが日本の行動の自由を担保してきました。

著者はそれでも憲法は改正されるだろうと言います。この本が出版された2006年よりは改正論は盛り上がっていないように見えますが、一部の人にとっては憲法改正は念願のようです。

私は何の力もありませんが、憲法改正には反対をしていきたいと思っています。そして日本が二度と戦争をすることがないことを願わずには得られません。

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