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『あん』河瀬直美監督ードリアン助川の小説の映画化

2015年5月30日公開の映画。主演は樹木希林で最優秀女優賞を受賞、永瀬正敏が最優秀男優賞を受賞しています。

全国77スクリーンで公開され、2015年5月30、31日の初日2日間で興収約4000万円超になり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第11位となったようです。

3年後の2018年9月15日に逝去した、樹木の最後の主演映画である事から、追悼上映もされました。

私はニュースでは見ていましたが、アマゾンのプライムビデオでやっと見ることが出来、改めて樹木希林の演技力と映画の素晴らしさを堪能させていただきました。

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映画『あん』のあらすじと感想

永瀬正敏演じる千太郎は、どら焼き屋「どら春」の雇われ店長で、購入したあんを使った手作りのどら焼きを販売しています。あまり人気はないようだが、女子中学生の3人組がよくどら焼きを食べにきています。

一人で来るワカナは同級生だがあまり豊かではなく、怠惰でワカナの高校進学にも消極的な母親と一緒にくらしています。千太郎はは小さな頃からの知り合いのそんなワカナに失敗したどら焼きのを上げています。

アルバイトの張り紙のある千太郎のどら焼き屋が桜に包まれているある日、樹木希林が演じる吉井徳江が、アルバイトに雇ってほしいと尋ねてきます。断ったが次にとってもおいしい粒あんを持ってきてそれに感激した千太郎は仕事をしてもらうことにします。

手が曲がっている徳江は心のこもったあんを作ったため、どら焼き屋には行列が出来るようになりますが、店のオーナーは徳江がかつてハンセン病であったことを聞きつけ止めさせよとします。千太郎も迷っていたが、噂はたちまち広まったようで、客足が遠のいてしまい、徳江は辞めていきました。

千太郎も過去に犯罪を犯した辛い過去があり、徳江を辞めたことに罪悪感を抱き酒に溺れるようになります。そんなときににワカナが飼っているカナリヤがアパートでは飼えないからと持ってきて徳江の所に頼みたいと二人でハンセン病感染者を隔離する施設を尋ねることにします。

そこで、徳江は子供の頃にこの施設に入ったが、自由に生きたかったと話すのです。夫はなくなっているが、子供を授かったときも産むことを許されなかったといい、もし生まれていたら千太郎くらいの歳になっていたと話します。

オーナーから、コックをしていた、かわいがっていた甥が、人間関係の悪化で止めたのでこの店を改装して一緒にやってほしいと頼まれますが、千太郎はそのような思いにはなれず、徳江の施設の近くにいるところをワカナが探し当て、二人で訪ねるが、徳江は3日前になくなったと教えられ、徳江があんを作るのに使っていた道具をもらってほしいと言われます。

神谷美恵子著『生きがいについて』に著者がハンセン病の国立療養所長島愛生園に精神病医として勤務したときに書いたこと

『生きがいについて』は著者がハンセン病の国立療養所長島愛生園に精神病医として勤務していた時に経験したことを主に書いています。

今ではハンセン病は治る病気であり、極めて伝染力が低い病気であることがわかっていますが、おや兄弟を始め、すべての人から隔離されていました。アメリカで発見された特効薬プロミンが日本に薬が入ってきたのは戦後の1947(昭和22)年頃のことで、その後いろいろな治療薬が出て現在は治療方針が確立していますが、かなりひどい差別を受けたようです。

私は少し短歌をかじったことがありますが、明石海人(本名でない)の歌集「白描」の素晴らしい表現によりその現状を知ったときはかなり心が痛みました。

この映画の徳江の言葉がまさにその傷みとして実感されます。徳江が、自分も自由に生きたかった、との思いを語るのを聞いたとき、誰もが他人の生き方に制約を受けてはいけないのだと言ったことと、神谷美恵子がすべての人は生きていて良いのだと書いていたことが重なりました。


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