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『ぼくの命は言葉とともにある』福島智著

著者は、9歳で失明、18歳で聴力も失ったあと、東京都立大に入り、東大教授となり指点字という手段でコミュニケーションを取りながら思索してきたことを書いています。

子供の頃にヘレンケラーの伝記を読んでいてその生き方に感動していたと言うから、盲ろうとなったときにヘレンケラーの生き方は著者の心の支えになったことだろうと思いながら読みました。

ヘレンケラーは生後19ヶ月で熱病のため失明と同時に耳も聞こえなくなった人で6歳の時に、アニー・サリヴァンと言う優れた先生と出会い、めざましい成長をし、世界各国を訪れて社会福祉のために一生を支えた人で、多くの人に知られています。

著者にとって、母親がアニー・サリヴァンのような存在だったのではないかと私は思いました。

『ぼくの命は言葉とともにある』

ヘレンケラーと違うのは、9歳まで目が見えたこと、18歳まで耳が聞こえたことはその生き方にかなりに違いがあったと共に、18歳になり社会とのつながりに大切な見ること、聞くことを奪われた孤独感は想像を絶する物があったのではないかと言う思いました。

全盲ろうの状態になり、学友の元に戻った著者に、友人が「しさくは きみの ために ある」と手のひらに書いてくれたという。

その「言葉と思索」の世界を著者は生きることになり、その後全盲ろう者として初めての大学進学、そして東大教授となり、障害学の研究と教育に従事する一方、盲ろう者を含めた障害者の福祉増進を目指す社会的活動に取り組んでいます。

盲ろうを受け入れ、盲ろう者として、「コミュニケーション」「存在」「いきる」「幸福」といった、すべての人に通ずるテーマを思索しています。

神谷美恵子のハンセン病に捧げた人生より、「人は生きているだけで価値がある」という考え方、芥川龍之介、トルストイ、ドストエフスキー、マルティン・ブーバー、谷川俊太郎、吉野弘、小松左京、北方謙三、
パスカル、デカルト、バートランド・ラッセル、エーリッヒ・フロムなどの著書から著者が感じたこと生きる意味など深く追求しています。

生きると言うことを深く思索したかたの本から健常者よりも深く多くのことを感じ取りそれを糧として生きた著者はその言葉をより多く追求したようです。

最期に、東大生の入学式の祝辞がこの本のメッセージに当たると書いているようにすべて生きている方に向けての応援であるのかもしれません。

生きているだけで人生のテスト満点の90点を取れていると言う著者の言葉はあらゆる人に勇気をくれます。

多くの人に読んで頂きたい本です。

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