私には老いて寂しくて、寂しくてどうしようもない母がいる
一人でいることのできない母は
一人になるとやさしい人を探しに押し車に支えられないながら
動かない足を一歩一歩と踏みしめて歩みだす
そんな時には普通では考えられない力が出るのが不思議なのだが
その寂しさはだれにもわからない
昨日言ったことも、今日言ったことも忘れてただ寂しさだけを背負ってしまった
生まれてきた寂しさを一身に背負っている母を私は助けてあげることができない
私は母がさびしいという感情を表に出したのを元気なときは見たことがなかった
なぜこんなにさびしいのだろうというのは簡単だが
寂しさをわかってあげる人がまわりにいないのが私には辛い
遠くから見守るほかない日々がいつまで続くのだろうか