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『私を離さないで』カズオ・イシグロ原作、TBS金曜劇場長編テレビドラマを見て

『私を離さないで』カズオ・イシグロ原作、TBS金曜劇場長編テレビドラマを、アマゾンプライムで見ました。

脚本「森下佳子」で、1016年に放映された主人公・保科恭子を「綾瀬はるか」が、恭子とともに不器用に希望を追い求める土井友彦役に「三浦春馬」、陽光学苑で過ごし彼らを翻弄する酒井美和役に「水川あさみ」が演じています。

1~10回で、コマーシャルなしで見られましたが、1回分45分なので、7時間30分かなり長いドラマを2日かけて見ましたが、時間が許せば通しで見たい思いでしたがそうも行きませんでした。

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『私を離さないで』カズオ・イシグロ原作、TBS金曜劇場長編テレビドラマを見て

臓器提供のために作られた「クローン人間」が施設で喜怒哀楽を感じながら育って行く感じは、どこにでもある施設の雰囲気とあまり違わないように見えますが、山の中の陽光学苑は高い塀と金網が張られていてその年頃のほかの子供たちとは違い、天使になるのが役目だというように校長の言葉を聞いたりするうちに、ほかの人間とは違っていると言うことを悟りながらも、その中で楽しく過ごしているように見えます。

何の知識もないままに読むのと、私のように、『私を離さないで』カズオ・イシグロ原作を読んでドラマを見るのとでは感じ方がかなり違うのではないかと思いながら、ドラマを見ました。

原作は起伏があまりなく淡々と書かれていますが、ドラマは人間の感情がおもてに出てくる分、心を揺すぶられる感じがありました。

ほとんど、原作と同じようなストリーですが、原作はイギリスである事などから宗教色などもあり、日本の子供たちとイギリスの子供たちの感情表現が違って見えるのですが、私は日本の子供たちや日本の風習に身近さを感じました。

『私を離さないで』ドラマのあらすじ

絵に力を入れている学園で、絵の苦手な土井友彦は友達からいじめを受けることがあり、それを恭子は慰めたり助けてあげたりしていました。

新任の堀江龍子先生が赴任して来て、友彦に絵がすべてではなく、運動が出来ることは素晴らしいことだと教えてくれたことから友彦は明るくなり、サッカーに夢中になります。

しかし、臓器提供者として育てられている学園の子供たちがサッカー選手になりたいなどと言う夢を持つことは許されないことのようでした。

そのような教育方針に違和感をもった堀江先生は悩むことになり、学園を去って行きました。

学園を卒業した恭子と友彦、美和はコテージに行くことになりました。そこで、浩介やあぐりなどとの共同生活が始まりますが、陽光出身者には知らされていなかった、介護人になり、その後提供者になるという運命を知らされます。

友彦と美和はカップルになり、恭子は孤立していきます。友彦は本当は恭子のことが好きで、学園ではレコードをプレゼントしてくれたりしていましたが(そのプレゼントはいつの間にかなくなっていました)、美和の強引な誘いで友彦と美和はカップルになってしまい、恭子は孤立してしまいます。

孤立していた恭子を支え防波堤になってくれていた浩介は看護人として出て行き、またひとりぼっちになってしまいます。

そんなある日、美和のルーツとなった人を見たというコテージの人の話に、迷っている美和を説き伏せ行ってみることにしました。神川校長が教えてくれた、「海流の関係で色々なものが流れ着くため、なくしたものがあるかもしれない」と言う「のぞみが崎」が近かったのです。

結局、その人は美和のルーツではなかったのですが、偶然、なくなってしまっていたレコードを友彦が探してくれて、恭子と友彦はお互いが本当に好きだったのだと悟ります。

本当に愛している二人だったら、提供を延長してもらえるのではないかという噂に、その心を表わすのはのは絵だと思った友彦は夢中で絵を描き始めます。

しかし、友彦と美和との関係の中で罅が入ってしまった事で、恭子は介護人になるためにコテージを後にすることにします。

その後、美和が二度目の提供をしていたところに介護人として着くことになりますが、以前からのわがままな美和に翻弄されることになります。

そして、友彦も二度の提供後、介護人を探していることを知りますが、美和の介護人をしていることから迷いながらも友彦の介護人にはなれないでいました。

そんなとき、美和が三度目の提供をすることになりましたが、その提供は三種同時提供であり最後を意味していました。介護人はそれを告げるのも役目であったために、かなり迷ったあげくカルテを美和に渡しましたが、以外と冷静でした。

そして、手術前に友彦と三人で陽光学苑を見に行きたいと言うことで、友彦に美和が手紙を書くのですが、美和の許可もなかなか下りない上に、友彦の状態も良くないことで、友彦は無断外出をすることになります。

そのとき、美和は神川校長の住所を調べており、二人で訪ねていって猶予期間を延ばしてもらってほしいと言います。

臓器提供の朝、美和は友彦を本当に好きだったわけではなく、好きだったのは恭子であり、いつも恭子になりたいと願っていたこと、冷静だった美和は手術台の上で、恭子にすがりつき「離さないで」と叫ぶのでした。

恭子のレコードを盗んだのも、美和だったと知ります。

美和亡き後、友彦の介護人となった恭子はもらった神川校長の住所に訪ねていきますが、引っ越した後で行き先が見つかりませんでした。

そんなある日友彦が読んでいた表紙の絵が、陽光時代に恭子が描いた絵であったことから、それをつてに探し当てた神川校長に会いに行き、猶予などと言うことは出来ないと聞かされます。

神川先生も「クローン人間」であり、母親の細胞から研究者だった父親が海外で研究していたときにクローンとして初めて作ったものであり、二人の子供として育てられたのだと聞かされます。

その帰り、友彦は自暴自棄になり、ガードレールに当たり血が出るまで暴力的になるのを見ていても、恭子はどうしようもありませんでした。

そんな友彦に三度目の提供の通知が来ます。ほとんどの人は三度目で終わりになりますが、三度目でも助かりトイレもままならない提供者もいます。友彦は自暴自棄になっている自分を恭子に見せたくないことから、介護人を替えたいと言出すのでした。

その日、街でサッカーを教えてくれた堀江先生に会うことになり、子供たちのサッカーを見に行く事になりました。

そこで、学園のひろきくんの心臓をもらったお父さんが、子供にひろきと名前をつけていてその子供がサッカーをしていて、臓器移植を受けたお父さんが応援していました。

堀江先生は提供を受けた人にインタビューをして記事を書いていると言うことでした。

そんな話を聞いた後、友彦はずっと会いたいと思っていた恭子に会えて、こうして一緒に暮らせたのだから希望が叶ったと行って最後の提供をしたのです。

一人になってしまった恭子は「のぞみが崎」に行き、神川校長にで会います。思い出箱を持って行ったのをみてた先生に、どうしてこれをくれたのですかと尋ねると、「体は奪われてしまっても思い出は誰も奪うことが出来ないから。」と教えてくれます。

恭子は死のうと思って海に入っていきますが、サッカーボールが、恭子の元に戻ってきてまとわりつくため、先に進むことが出来ませんでした。

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『私を離さないで』の感想

科学の発展は倫理という大切なものも壊しかねないという、作家の危機感が書かせたのではないかと私は思いました。

校長だった神川恵美子先生は、クローン人間によって、人間が長生きしすぎることに危機感が出て、もうこの制度はなくなるのだろうと話していますが、私は現在までにこのような制度がある事自体知らないので、これは架空の話であり、決してこのようなことがあってはいけないとの作者の思いなのでしょう。

原作よりもドラマ性が高いためにドラマを見た人の中には、より多くの違和感を感じたのではないかという思いもよぎりましたが、人間的な感動はドラマの方が大きく涙がこぼれました。

小説では最後は恭子は、友彦という提供者を離れるのですが、このドラマでは最後まで介護人を務めるというところが大きく違っています。

この重いテーマーを小説では淡々と書いているのに比べて映像では、もっと感情移入が多いと思いました。

そして、それぞれの人物像を、描く役者の個性によっても見るものの思いは異なるのかもしれません。

主人公・保科恭子を演じた「綾瀬はるか」はとても素晴らしかったと思います。

何故か今まで、小説を映画をドラマ化したものはあまり見たくないとの思いが大きかったのですが、今回はドラマでテーマの重さを再認識でき、感動しました。

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