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『クララとお日さま』カズオ・イシグロ著ーノーベル文学書 受賞第一作

カズオ・イシグロ氏の作品はノーベル賞を受賞した後から読み始めています。

最初に読んだのが、『日の名残り』であり、『私を離さないで』『遠い山なみの光』と読んでいますが、それぞれに素晴らしい作品でありながらテーマーがかなり違っています。

いずれも土屋政夫訳ですが原文を読めない私には、和訳で読むことしか出来ませんが、両親が日本人であり、4歳の時にイギリスに渡ったという作家は、どこか日本人とは違った感性を持っているのだろうとこれらの作品から感じました。

今回読んだ、AFが主人公の作品は『クララとお日さま』とても好きな作品になりました。

『クララとお日さま』のあらすじと感想

『クララとお日さま』 は、AFの少女が主人公という設定ですが、あまりに人現から近いことにより無視されることもありましたが、その優しさと賢さは誰にも好かれるようになります。

クララと言う親切で優しく頭が良く、何にでも興味を持つようなAFを主人公にして書いていますが、 『私を離さないで』 の中でクローン人間を扱って小説の園長線上にあるのかもしれません。

それは、近未来の科学技術の発達によって起こるだろう社会の格差、分断、その中での人間の悲しみ寂しさを太陽という自然の偉大さを際立たせながら描いています。

『クララとお日さま』のあらすじ

アクセサリー、食器などを扱うお店で、AFも売っていて、そこで売られていたクララが、偶然にジョジーという体の弱い子と意気投合し、買われていくことになります。

AFは太陽エネルギーで動き、クララは賢く、様々なことに興味を抱き、店長さんにいろいろ質問しながら、人間の性格を学んでだB2であり、B3よりも旧型であり、嗅覚もなく、飛ぶこともできないがとても優秀なAFです。

母親とお手伝いさんがいる家庭の14歳程度のジョジー暮らすことになります。

格差社会は、ますます大きくなり、裕福な家の子どもは遺伝子編集を通じて知性の「向上処置」を受けるような時代になっています。

「向上処置」 を受けないと大学進学の道もかなり狭められるので、裕福なな家庭の子は病気の危険性を感じながらも 「向上処置」 を受けさせるようです。

ジョジーには将来を約束した友達のリックがいますが、リックは母親が病気であり 「向上処置」 を受けていません。

この時代の子供たちは完全にリモートで教育を受けており、社交性を身につけるために交流会を開くことになっていて、ほとんどが 「向上処置」 を受けた子供たちの交流会です。リックも招待されますが、あまり面白くなく、クララも旧型のAFだったためにあまり歓迎されませんでした。

リモートで勉強をすることから、孤独を癒やすために子供たちにはAFを与えられることが多いようです。

ジョジーの母も、姉のサリーもうまくいかずに亡くなったというのに、妹のジョジーにも 「向上処置」 を受けさせます。そのためかある年齢からジョジーは病気がちになりますが 「向上処置」 を受けたことには満足しています。

病気がちになった時、リックは毎日30分くらいジョジーの家に来るようになり、ジョジーが絵を描いた吹き出しにリックが言葉を入れるような遊びをするようになりますが、お互いの心の行き違いで言い合いになったりします。

クララがお店のウインドウにいたとき、死んだと思っていた犬と老人が朝の太陽を浴びて立ち上がったのを見て、クララは太陽の光が、人を生き返らせるのだと思い込み、太陽が沈むマクベインさんの納屋まで歩いて行き、ジョジーの病気が治るように祈ります。

ジョジーは肖像画を描いてもらうために街に出かける日、リックとリックの母も一緒でした。

絵を描いてくれるカパルディさんの家に行った時、ジョジーの父親もきていていました。賢いクララはそれが何のため肖像画なのかそれぞれの話の中から理解します。ジョジーがなくなった後に、クララがジョジーを演じることになるのだと。

父親はサリーがなくなったことから、ジョジーに 「向上処置」 を受けさせることに反対だったようで、クララに最初は冷たい態度をとりますが、ジョジーを助けるために工事用の煙で太陽を汚す機械を壊すのを手伝ってくれます。

リックの母親は 「向上処置」 を受けない子供はかなり少数しか入れない大学に入れてくれるように、昔の恋人に頼みますが、断られます。

街への遠出から戻って11日後ジョジーの衰弱が始まりました。

ライアン先生はもう良くなる見込みはないとまで言います。

クララはリックに助けられて、 太陽が沈むマクベインさんの納屋 に行き、必死に祈りました。

ジョジーがかなり悪くなったと分かった時、ジョジーの母親はリックに勝ったと思うかと詰め寄りましたが、リックは、ジョジーから無くなったときに母に言ってほしいと頼まれていたことを言います。「母がとっても好きだったこと、向上処置については、受けなければ良かったなどと思ったことがないと言ってほしい」と頼まれていたと言います。

その時強い光が差しこんできたので、クララが促し、ジョジーの部屋に行き、ブラインドやカーテンをすべて開けるとジョジーは太陽の中で起き上がることができたのです。

その後、個人指導による学習にも取り組み、大学進学の準備をして、大学に行くために離れていきました。

リックは 向上処置 をしていないので、それなりの生き方を探し、ジョジーと会えなくなったとしても、ジョジーみたいな誰かを探し続けると言います。

クララは静かに役割を終え、店長さんと会うことになりました。

そして店長さんは、クララが世話をしたAFの中では最も驚くべき優秀なAFだったと言いました。

『クララとお日さま』 の感想

カズオ・イシグロ氏の 『クララとお日さま』 は、 『私を離さないで』 に続く、科学技術の発展によって起こるだろう未来の寂しさを描いていると思いました。

AFが語り手の小説は初めて読みました。

明るい未来とは言いがたい社会をAIの目から見て描いていますが、子供たちの描き方に希望があり、作者の力量により優しさと明るさを感じながら読むことが出来ましたが、この物語は私たちに多くを語りかけており読み過ごすことのできない内容を持っていることを忘れては行けないと思いました。

そのような内容の中で、太陽信仰を持つAFの目を通して見た人間社会の有り様は、悲しく優しく、私を救いと導いてくれました。

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