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『国対委員長』辻元清美著ー官邸から立法府を守れ

立憲民主党立ち上げから、国対委員長として活躍した辻本清美氏がその内幕をわかりやすく書いてくれていて、国会がどのように動くのかが素人でもわかり、政治に興味を持つ者にとって興味深い本です。

私は森友問題で、国会が大きく揺れ始めたころから、予算委委員会を見ることが多くなり、政治に興味を抱いていたので、その頃の国会の内幕がわかり、国対委員長の辻元清美氏の活躍をかなり知ることができました。

『国対委員長』あらすじと感想

2017年10月に安倍総理が突然に衆議院議員を解散総選挙になったとき、それまでの民進党は参議院議員を残し、希望の党、無所属、立憲民主党と分裂して、立憲民主党が55人の当選で野党第一党となったのです。

その前後の政治の動きや国会はかなり見ていたのですが、それらの場面で国対委員長の辻本氏の動きを追うことができました。

表面からしか見ていなかった、国会の裏役としてすべてに関わり、国会を動かすという重責をになっていたことを改めて知りました。

第一章 国対委員長という仕事

自民党の国会対策委員長は森山裕さんで、間髪を入れず極めて丁寧な物腰で、挨拶に来られたようです。

与野党がバラバラの中で、野党第一党の国対委員長が交渉に臨むことになり、野党をとりまとめなければなりません。

民進党のベテラン職員が来てくれたことで心強かったのですが、安倍政権という異様な政権と対峙しなければならないという大きな課題を持つ持つことになりました。

国対は国会運営を円滑にすること、国会法や先例集についての知識を持っていること、衆参両院を展望する目を持っていることが条件のようです。

国対の権限は大きく、質疑者の決定、議員の事務所、宿舎の部屋割りなどがあり、エコヘイキをしないような対応が必要であり、代議士会などで頑張っている代議士に質問を重ねてもらうことなどかなり気を使うようです。

筆頭理事を決めるのも国対の仕事で、逢坂さんにお願いしましたが、筆頭理事はかなり神経を使う仕事のようです。

それまでバラバラにやっていたヒアリングを「野党合同ヒアリング」にしたのもしたのも辻本さんと言うことで、国体の権限と仕事の多さにびっくりしました。

与党と野党の質疑時間を5対5にするようにと自民党から提起があったとき、国対で激しい対立があり、夜中まで部屋にこもり引かなかった辻本さんの押しの強さにも驚きましたし、その駆け引きのうまさにも感心しました。

第二章 調整力と論戦力で官邸を動かす

始めての通常国会は、働き方関連法案でした。私も国会を見ていましたが、安倍総理は無理にも法案を通そうとしていたようですが、平昌オリンピックに行っていても国会のことが頭から離れず、ミスター年金の長妻さんに「質問をしていただけませんか」とお願いします。

その後、出てきた資料からは「不適切なデータ」がボロボロ出てきて、追求を強めたことにより、首相は裁量労働制拡大の切り離しまで決断させることができました。

第三章 野党が審議拒否をする本当の理由

次に起きたのは朝日新聞に、森友問題との国有地取引に関する決裁文書を財務省が書き換えた疑いと1面記事に出たことで大きな問題になり、国会の追求は激しくなっていました。

愛媛県に新設許可された加計学園の獣医学部をめぐる疑惑、南スーダンのPKOに派遣された自衛隊の「日報隠し」と次々と疑惑が出てくるのです。

その上、説明する気がなく、のらりくらりと嘘で乗り切ろうとしているのには予算委員会は見ているだけの私も疲れました。

そんな中で、野党はゼイキンの無駄遣いだと言われながらも国会審議を拒否せざるを得ません。審議に応じなければ国会は空転するので、少しずつ出してくるのですが、今でも政府はすべてのことを認めていません。

どのようにしたら、審議に応じられるか駆け引きをするのが国対委員長の辻本氏の腕にかかったいるようで、そんな内幕が書かれていますが、安倍総理という平気で嘘を言う安倍総理との対決はかなり大変だったようです。

第四章 憲法をめぐる「暗闘」 

国会委員長として、先に書いたような問題を抱えていながら、一番神経をすり減らしたのは憲法問題だと辻本氏は書いています。

国会を見ている人だったら、素人でも分かるようなやり方で憲法改正をしようとしていたのが安倍総理です。

憲法9条があるから、戦後70数年、日本は戦争に巻き込まれないで済んだと言われていますが、その9条に自衛隊を書き込もうとしていたのが、安倍総理です。

9条の第2項を残して自衛隊を入れると言うことは矛盾しているのは誰でも分かるのですが、 9条の第2項 を骨抜きにして自衛隊を入れるつもりのようでした。

私は法律については素人ですが、自衛隊という制度は国際法上にはなく、軍隊と捉えられるとどこかで読んだことがあります。

長期政権で、憲法改正のできる三分の二の議席を持った安倍政権は、自分が政権を取っているときに先人たちがなしえなかった憲法改正をしたかっただけだろうと言うように書いているものも見たことがあります。

第四章 国会の無力化にあらがう

辻本氏は2年勤めた国対委員長を辞め、安住淳氏が国対委員長になり、予算委員会のの論戦の最前線に出ることになりました。

その頃、赤旗のスクープで、田村智子さんの追求をきっかけに「桜を見る会」の疑惑が明らかになり、辻本さんの鋭い追求を見ることができました。

「桜を見る会」の疑惑 はまだ解決していません。

その後、コロナ禍になり、対策に批判が相次ぎ、安倍総理は体調不良を理由に総理を辞め、管総理になっていますが、コロナ禍の中、オリンピックを開き、大きな対策がないまま、医療崩壊寸前で毎日陽性者も重傷者も増え続けています。

『国対委員長』まとめ

最期に「立法府を守るために」と題して、元国会議員で様々な役職の後に、副総理まで務めた山崎拓さんとの特別対談が載っています。

自民党が今よりもまともだった時代を回顧して、今のような政権を抜け出さなければならないというようなことを書いています。

昔は派閥が強く、総裁候補がしのぎを削っていたので、何も言えない今の自民党のような政権などできようもなかったようです。

私もそれほど政治に興味を抱いていたわけではありませんが、総裁選一つとってももっと緊張感があったように思いますし、このような政権から抜け出さない限り、日本は滅ぶのではないかと思っています。

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