『それでも日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子著ー史実を下にした素晴らしい歴史書
加藤陽子氏は東京大学大学院の教授です。3年毎に約半数105名が任命替えされることになっている2020年の学術会議任命拒否された6名の中の一人になっています。 学出会議については、総理に任命権はありますが、形式的な任命であり、今まで任命拒否をされた学者はいなかったことから大きな問題となっています。 その中の加藤陽子氏の著作である、『それでも日本人は「戦争」を選んだ』に興味を抱き、読んでみたいと思いました。2009年発行になているので20年前に書かれ、小林秀雄賞を受賞しています。 スポンサーリンク 『それでも ...
『火車』宮部みゆき著ー多重債務を書いて現在の闇の部分をえぐり取る
都知事選に出馬した宇都宮健児氏が多重債務に陥った人を助けた弁護士のモデルとして書かれているということを知り、購入していた宮部みゆき著『火車』を読了しました。 『火車』は第6回山本周五郎賞受賞を受賞したミステリー小説です。また2008年に賞創設から20年間のベスト・オブ・ベスト1位に輝いています。 サラ金社会問題として大きくなった昭和50年後半から、宇都宮健児がモデルの溝口悟郎弁護士が自己破産を扱って多重債務者を助けることに力を注いでいました。 スポンサーリンク 『火車』のあらすじと感想 私はミステリー小説 ...
『経済学は悲しみを分かち合うために』神野直彦著ー人間を幸福にする経済をめざして
財政学(社会財政学)の第一人者である神野直彦氏の自伝であるが、東京大学から財政学を学んだ著者の語る自伝は財政学が多くの分野を占めながらも、生い立ちから生き方にまで及び、愛情に恵まれて研究を続けた様子がうかがえます。 そして、財政学と共に生きた著者からは、多くの財政経済学を学ぶことができ、素人の私でも生きるために必要な経済学の大切さを感じることができるのです。 それは、専門書とは違った書き方で財政学を説いていることばかりでなく、文章がとても読みやすいことにもあるようです。 1946年生まれの著者は大学のゼミ ...
『博士の愛した数式』小川洋子著ー博士の記憶は80分しか持たない
著者は1991年『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞し、2004年『博士の愛した数式』は読売文学賞、本屋大賞を受賞、その他多くの小説があります。 2020年に『密やかな結晶』の英語訳(英訳タイトル『The memory police』)がブッカー国際賞の最終候補にノミネートされたが受賞には至らなかったようですが、多くの賞を受賞し、選考委員などもしているようですが、現代作家の本をあまり読んでいなかった私は、小川洋子氏の著作は『博士の愛した数式』が初めてです。 古典と言われた本を主に読んできて、現在活躍している小 ...
『欲望の経済を終わらせる』井出英策著ー経済の自由より人間の自由 !!
著者の井出英策氏は日本銀行金融研究所勤務を経て慶応大学経済学部教授の財政学者です。 私は読んでいませんが、『経済の時代の終焉』で大佛次郎論壇賞を受賞したということです。 世界を席巻した新自由主義からの脱却を訴えて、個人や社会に何がおきても、安心して暮せる財政改革を提言、人間らしい自由な生き方ができるような社会を私たちに示しています。 スポンサーリンク 『欲望の経済を終わらせる』のあらすじと感想 世界的なコロナ禍の中で、貧富の差がますます広がっています。バブル崩壊から30年を過ぎても経済が上向く気配もない日 ...
『それでもボクはやってない』映画 監督:周防正行ーあらすじと感想
2007年の映画なので、かなり古いですが、アマゾン・プライムで見ました。 この作品は、監督の周防正行が時間をかけ、地道な調査活動を踏まえて、「どうしても作りたかった」という、日本の刑事裁判、人質司法に疑問を投げかける作品でです。 2007年度の数々の賞を受賞した優れた作品で、今見ても古い映画という感じがなく、現実感がみなぎった作品で、多くの人に見ていただきたい映画だと思いました。 スポンサーリンク 『それでもボクはやってない』のあらすじと感想 主人公のモデルとなったのは、2005年、JR横浜線の電車内で女 ...
『ある少年の告白』映画 監督:ジョエル・エドガートン
この映画は2019年に日本で放映したアメリカ映画で、私はアマゾンプライムで見ました。 著者のガラルド・コンリーが2016年年に出版したベストセラーを原作としたドキュメンタリー映画です。ガラルド・コンリーがゲイの矯正治療を受けたのは2004年の19歳の時と言うので、それほど昔の話というわけではないようです。 日本でも、ゲイというとかなり偏見を持たれていたようですが、現在は自分たちがゲイである事、レズビアンである事を公表している方もかなりいるようなので、アメリカではかなり前から自由だったのだろうと思っていたの ...
『告白』湊かなえ著-2009年本屋大賞第一位(2010年映画化)
『告白』は著者湊かなえのミイステリー小説です。 アマゾン・プライムで最初に映画を見て、その後2008年発行の本を購入して読みました。映画化されたのは2010年なので、10年以上も前の小説であり映画です。 『告白』は湊かなえ氏のデビュー小説のようですが、私はあまりミステリー小説を読むことが少ないので名前はおぼろげながら知っていましたが、初めて読む作家の小説でした。 小説が映画化されるとかなり印象が異なりことが多いと今まで感じてきたことから、小説も読んでみたいと思いました。また、2009年の本屋大賞を受賞した ...
『女帝 小池百合子』石井妙子著ー救世主か?”怪物か?
『女帝 小池百合子』は、石井妙子氏が3年半という歳月を費やして取材を重ねて書いた東京都知事、小池百合子の半生の道のりです。 私がはっきりと小池百合子氏の生き方に違和感を感じたのは東京都知事選からです。それまでは普通の女性政治家と言う思いで眺めていました。 都知事選に出馬したときに、学歴詐欺などの報道があり、選挙中の行動をテレビで見ていたのがすべてでした。 大きな違和感を覚えたのは、豊洲問題からで、その後のオリンピックの会場問題に至っては颯爽とテレビに出てくる姿を、違和感を感じながら見ていました。 その違和 ...
『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』 映画 監督:松岡錠司
『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』はリリー・フランキーが母親との人生を書いたノンフィクションの同名小説を原作とした映画ということで、1960年代、3歳だった僕が玄関を壊して入ってきた父に焼き鳥を食べさせられるところから始まります。 樹木希林が亡くなり、アマゾンのPrime Video で樹木希林作を見るようになっています。 この映画はボクの子供時代の母親を娘の、内田也哉子さんで、成人した以降の母を樹木希林という配役になっています。 2007年4月14日に松竹配給で公開されました。オダギリジョ ...
『あん』河瀬直美監督ードリアン助川の小説の映画化
2015年5月30日公開の映画。主演は樹木希林で最優秀女優賞を受賞、永瀬正敏が最優秀男優賞を受賞しています。 全国77スクリーンで公開され、2015年5月30、31日の初日2日間で興収約4000万円超になり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第11位となったようです。 3年後の2018年9月15日に逝去した、樹木の最後の主演映画である事から、追悼上映もされました。 私はニュースでは見ていましたが、アマゾンのプライムビデオでやっと見ることが出来、改めて樹木希林の演技力と映画の素晴らしさを堪能さ ...
『枝野幸男の真価』毎日新聞取材班ー立憲民主党は政治の〈新章〉を開けるのか
2017年9月25日安部首相は突然衆議院議員の解散を表明する記者会見を行いました。衆議院議員の解散権を持っている総理がいつ解散に打って出るか分からない中、民進内も緊張していましたが、民進党の党首選で前原誠司と枝野幸男が代表権争いをして、枝野が敗れ、いろいろないきさつの中党内人事が決まったばかりの時でした。 小池百合子都知事は人気絶頂の中で、新党(希望の党)を立ち上げ、民進党の右派の細野他数名が離党をしてそこに加わっていました。 その当時の民進党は、バラバラ間が強く、私にすれば選挙になっても投票するところが ...
『枝野家のひみつ』枝野和子著ー福耳夫人の20年
立憲民主党党首 枝野幸男の妻枝野和子さんが、枝野氏と結婚してからの20年間を政治家の妻としての日々や夫、子供たちへの思いを描いたものです。 私が枝野という政治家を知ったのは、東日本大震災の時官房長官として毎日のように記者会見をしていた姿を見たことに始まります。 それまでは、適当に新聞やテレビで見たいた政治ですが、本当に政治に関心を持ち始めたのは、自民党安倍政権下で森友事件が問題になってからのことです。 それ以降は、できる限りテレビで放映される国会中継は見るようになり、分からないままにも政治に関心を持つよう ...
『猫を棄てる』村上春樹著ー父親について語るとき
私は村上春樹の本を読み始めたのはかなり遅く、ここ数年前からです。 しかし、私にとってはどこか気になる作家であったことから、その後かなりの長編小説も含めて10数篇は読むことになりました。 ほとんど発売時期とは関係のない本を行ったり来たりしながら読み、『猫を棄てる』で初めて最新小説を読むことになりました。 『猫を棄てる』は2020年2月に発売されたので、著者は70歳くらいになっていたのだろうと思います。 スポンサーリンク 『猫を棄てる』のあらすじと感想 今までは発売されてからかなりの年月が過ぎていた本を読んで ...
『ツーカとゼイキン』明石順平著ー知りたくなかった日本の未来
明石順平氏は1984年生まれの弁護士です。主に労働問題、消費者被害事件を担当しているようです。 著書には『アベノミクスによろしく』や『国家の統計破壊』『データーが語る日本財政の未来』などがあるようですが私は著者の本は初めて読みました。 『ツーカとゼイキン』は、通貨を通貨の歴史からひもといていきます。 私は経済についてはずぶの素人なので、かなり読みやすく書いてあるのでしょうが、間違った受け止め方をしてしまうかもしれません。もしそのような書き方があったときは私の問題である事を断っておきたいと思います。 スポン ...
『ノルウェイの森』村上春樹著ー「生と死」を通して傷つきやすい若者の苦悩を描いた
『ノルウェイの森』は、村上春樹の長編5作目、前作は『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で、私が村上作品として前回読んだ作品になります。 作者が100%の恋愛小説と言っているように、リアリズム作品で、村上氏の他の小説とはかなり違っていると思いながら読みました。 「生とと死」をテーマに書いた作品で、ベストセラーとなり、映画化もされましたが、ここには小説について書きました。 それについて。 小説が十万部売れているときには、僕はとても多くの人に愛され、好まれ、支持されているように感じていた。でも『ノル ...
森友問題で自殺した近畿財務省職員の遺書を読んで
2018年3月7日近畿財務局職員・赤木俊夫氏が命を絶ちました。 森友問題で、文書の書き換えが朝日新聞に載り、長いこと国会で野党における追求を受け、文書書き換えを検察が調べている最中だったと思いますが、日本中がその自殺を聞いて、騒然となったのを覚えています。 遺書があったという報道はありましたが、詳しいことが分からないまま2年の歳月が過ぎ、その遺書が週刊文春に載り、文書改竄をさせられた赤木さんの経緯が国民の前に明らかにされました。 それにより、疑問だった多くのことが分かりましたが、一人の人間が文書書き換えと ...
『太陽の蓋』映画 監督 佐藤太ー東日本大震災発生、福島第一原発事故を描く
2016年に作成された、佐藤太 監督の映画『太陽の蓋』をアゾンのレンタルで見ました。 東日本大震災から9年の歳月が流れましたが、未だに被害者が立ち直ることが出来ずにいる中、保証を打ち切られようとしています。 津波の犠牲者も多く出しましたが、福島第一原発では、全電源喪失の事態に陥り、冷却装置を失った原子炉は、温度が上がり続け、想定外の状況を前に、判断を誤る科学者たちと情報不足のまま、混乱を極める官邸、そして故郷に別れを告げ避難を急ぐ市民たちをリアルに描いています。 スポンサーリンク 『太陽の蓋』映画のあらす ...