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『それでもボクはやってない』映画 監督:周防正行ーあらすじと感想

2007年の映画なので、かなり古いですが、アマゾン・プライムで見ました。

この作品は、監督の周防正行が時間をかけ、地道な調査活動を踏まえて、「どうしても作りたかった」という、日本の刑事裁判、人質司法に疑問を投げかける作品でです。

2007年度の数々の賞を受賞した優れた作品で、今見ても古い映画という感じがなく、現実感がみなぎった作品で、多くの人に見ていただきたい映画だと思いました。

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『それでもボクはやってない』のあらすじと感想

主人公のモデルとなったのは、2005年、JR横浜線の電車内で女性に痴漢を働いたとされて逮捕・起訴された男性(のち、訴因変更で強制わいせつ罪に格上げされた)だと言うことです。男性は無罪を主張したが、20007年の一審で懲役1年6ヵ月の実刑判決を言い渡され、控訴、上告したが、2007年12月に最高裁判所は上告を棄却し、実刑判決が確定しました。

本作の前半部に出てくる人権派の裁判官は、その時の木谷明がモデルとなっていると言うことです。

『それでもボクはやってない』のあらすじ

大混雑する朝の通勤通学ラッシュの電車で就職面接に向かう金子徹平は、駅員に背中を押し込められてやっと乗り込みましたが、気がつくとスーツがドアに挟まっているのに気がつきます。

そのスーツをはずそうともぞもぞしていたのですが、痴漢と間違われてしまいます。高校生の女の子に腕を捕まれて痴漢だと駅員室に連行されてしまいます。つかんだ女の子は同じ色のスーツを着ていたと言うことで、痴漢をした人の腕をつかんだわけではないようです。近くに乗っていた女性が、「この人は痴漢ではない」と駅員室までついてきてくれたのですが、徹平はまもなくやってきた警官に逮捕・連行され、更には起訴されてしまいます。

弁護人からはお金で示談にした方が良いと言われますが、徹平はやっていないのですから、示談に出来ないと言いはります。

取り調べの刑事は彼の無実の弁明を聞こうともせず、少女に事実確認することもできず心が折れかけていきますが、彼の無実を信じる家族や親友、元彼女らの運動で、元判事の荒川弁護士や市民団体の助力を得て、徹平は証拠を固めて裁判で真実を明らかにしようとします。

「この人は痴漢ではない」と言ってくれた女性もビラ配りの結果、探し出すことが出来ました。

しかし、検察の立証が不十分との心証を形成していた若手の担当裁判官、大森判事が突如異動となってしまいます。

その後、検察よりの室山判事が担当裁判官となったことで、裁判の行方には暗雲が立ちこめ始めます。さらに彼の部屋から痴漢もののアダルトビデオが発見され裁判に不利な証拠が見つかり、ますます状況は不利な立場になってい来ます。

目撃者の女性の証人尋問も行われ、現場を再現したビデを撮影などの努力もむなしく、徹平は懲役3ヵ月の判決となってしまいます。

判決文の後「上告が出来ます」という裁判官の言葉に「上告します」と答えたところで映画は終わります。

重い気持ちを引きずったまま終わり、考えさせられる映画でした。

『それでもボクはやってない』の感想

周防は2017年のインタビューで、上述のオチにした理由について「あれが現実だから。裁判が最後に真実を明らかにするという幻想を打ち砕きたくて、みんなに、本当に嫌な思いで映画館を出てほしかったんです。日本の刑事裁判はこれほど酷いものだということをきちんと伝えたかった」と述べている。

監督の周防正行氏がこのように書いているように、刑事事件は逮捕・起訴されてしまうと、無実を勝ち取るのはかなり大変だと聞いたり、読んだりしたことがあります。

松本サリン事件の被害者である、河野義行氏の講演を聞いたことがありますが、奥さんが大変な被害に遭っているにもかかわらず、疑惑をかけられるとすぐに犯罪者に仕立て上げられ、犯人が分かるまでは本当に大変だったと言っていました。

その後、日本型組織の病を考えるの著者村木厚子氏も、虚偽公文書作成容疑(郵便不正事件)にかかわったとして逮捕、半年近い拘留の末無罪をかちとるまでの苦労を書いていますが、容疑者になるとそれをひっくり返すのは本当に大変なようです。

「積み上げると70㎝から80㎝になる調書の中から間違った記述を探し出せたことにより無罪へと導き出せたのです」と書いてあるのを見ても、その執念と偶然が重なったような結果だったようです。

検察もそれなりに大変な仕事なのでしょうが、考えさせられることの多い映画でした。

主なキャスト

  • 金子徹平(加瀬亮) - 主人公
  • 荒川正義(役所広司) - 徹平の主任弁護人で元裁判官
  • 須藤莉子(瀬戸朝香) - 徹平の弁護人。当初は痴漢事件の弁護を嫌がっていた
  • 金子豊子(もたいまさこ) - 徹平の母
  • 斉藤達雄(山本耕史) - 徹平の親友
  • 青木富夫(竹中直人) - 徹平の住むアパートの大家
  • 大森光明(正名僕蔵) - 徹平の裁判を当初担当していた元東京地方裁判所裁判官。裁判途中で転勤となる。この直前、彼が出した無罪判決2件が東京高裁で破棄されている。人権派の裁判官は、木谷明がモデル
  • 室山省吾(小日向文世) - 大森に代わって徹平の裁判を担当した裁判官
  • 古川俊子(柳生みゆ) - 徹平に痴漢をされたと訴えた女子中学生
  • 土井陽子(鈴木蘭々) - 徹平の元彼女
  • 小倉繁(野間口徹) - 徹平の大学時代の先輩

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