『春琴抄』谷崎潤一郎著 |マゾヒズムな愛を描く
昭和8年に「中央公論」には発表されたようですが明治時代を背景にした春琴と春琴の身の回りの世話をしていた佐助の物語です。 谷崎潤一郎の小説の数編は若いころに読んだことがあり、春琴抄を読んだ記憶もありますが、目を針で刺して盲目になる場面ははっきりと覚えているものの詳細はおぼろになっていました。 この小説を読んで、長編「細雪」や「痴人の愛」など時がたった現在の心境で読んでみたいと思っています。小説は年齢やその時の心の状態などによって読後感が変わるので気にかかっている小説は何度も読んでみたいものです。 谷崎潤一郎 ...
『真珠夫人』菊池寛著|柳原白蓮がモデルと言われる
菊池寛の「真珠夫人」は柳原白蓮がモデルになているということから是非読んでみたいと思って読み始めました。 柳原白蓮こと燁子は親子ほども年齢差のある九州の炭鉱王・伊藤伝右衛門のところに嫁ぎ、幸せとは言えないまでも社交界ににデビューして別府の別荘で社交にふけっていたころ、菊池寛も尋ねたようです。 燁子がモデルと言っても、真珠夫人は私が読んだ林真理子の「白蓮れんれん」の燁子とはかなり違っていますから、美しい燁子を見て稿を練って書かれたものなのでしょう。 実業家と収入のない華族という時代背景は当時の実情だったようで ...
『白蓮れんれん』林真理子著|「心の花」の歌人柳原白蓮
私が柳原白蓮を知ったのは短歌を始めた数十年前で、その恋の歌の数々から白蓮事件を知ることになりました。 短歌を作り始めたばかりの私は、現代短歌の解説書のようなものを貪るように読み始めました。 そのような本の中には決まって「心の花の同人」であった柳原白蓮の歌が載っていました。 そのようなことから、今回読んだ「白蓮れんれん」のあらすじは大方知っていました。 その後の、NHKの朝の連ドラ「花子とアン」でも東洋英和女学校時代に、「赤毛のアン」の翻訳者で知られる村岡花子との友情が描かれているのを見て、さらに知識を深め ...
手根管症候群の手術に向けて筋電図などの検査を受ける
夫の手根管症候群の症状は日増しに悪くなるようで、イライラ感がつのるようになってきました。 寝ている時は作っていただいたギブスのおかげで少しは良いようですが、起きてからの朝の症状はリュウマチの症状に似ているのではないかと思うほど手を動かすのが大変なようです。 また、左手も症状があらわれて、両手が不自由になってしまったこと、手が動かなくなってしまうのではないかという不安のために精神的にもきつくなってきています。 それまで見ていただいている先生も手の専門の整形外科なのですが、対処療法として薬を出してくれるだけで ...
白内障適齢期 赤星隆幸 聞き書き片寄斗史子|白内障手術が決まって読んだ本
私は網膜剥離の手術をして3年が過ぎ、網膜の状態にリスクがある上、飛蚊症がむごいことから、健康な目の人に比べて白内障の手術にも少し違った心配があります。 網膜剥離の手術をした後はカメラで言えばフイルムの場所が歪んでいるのですから、ものが歪んで見えたり、文字が小さく見えたりと白内障以外の症状もあったために、視力もその時によって安定しませんでした。 現在も日によって見え方が違いますが、かなり慣れたので手術したばかりのころよりは精神的に楽になっています。 ずっと網膜剥離の経過を見ていただいている先生は、白内障がど ...
眼瞼下垂の手術体験ー網膜剥離手術後瞼が重くつらい時期が続いたため眼瞼下垂の手術を受けた
白内障の手術後なかなか腫れが引かず、痛みも長いこと続いたので転院をしてバックル感染が分かり再手術をしていただき、痛みが引き、まぶしさからも解放されました。 しかし、かなり長い間腫れが引かなかったためか、再手術の経過は良かったのですが、瞼の重さが残ってしまいました。 それまでは自分の意思で目を開けているという感覚は経験したことが無かったのですが、何気ない日常の中で瞼が重く力をいれて目を開かなければならないという感覚はとても大変なものでした。 例えば普段は手があるということを意識しないで動かしているものが、そ ...
骨粗鬆症の治療最前線ー新しい薬で気長に改善
私は若い時に子宮摘出手術を受けたことから、女性ホルモンの欠乏があったわけですが、その頃は一般の病院では女性ホルモンの補充療法などは行ってもらえず、ホルモンバランスが崩れてかなりつらい思いをしましたし、その時に骨量も減りましたので骨粗鬆症の病歴はかなり長くなっています。 今はそのような状態の時には、女性ホルモン製剤(エストロゲン製剤)を投与してもらうことでかなり楽になり、骨量も増えるようですが、乳がんになる可能性が高いことから、処方しにくい薬のようです。 そこで注目されたのが、SERM のラロキシフェンで、 ...
手根管症候群の寝ている時の痛みは手のギブスでかなり良くなった
四肢ギブスシーネ(片側半肢) 頚椎・脊髄が専門の医師に診ていただき、2年前に手術した頚椎症性脊髄症はとても良い状態で、数年前に骨折した場所はきれいなのでそこからのしびれや痛みは考えらえれないことから、手のしびれと傷みは、手根管症候群の症状ではないかということでした。 そのようなことから、メチコバール錠500μgとリリカカプセル25㎎を処方していただきましたが、薬を飲んだ時は少し楽なようですが、夫は手のしびれと傷みが夜に強いことから、かなり落ち込んでいたので手の専門の整形外科医の診察を受けることにしました。 ...
やけどをした時の緊急処置ー素早く流水で冷やす
著作者:fernando ruiz díaz ご存知の方は多いと思いますが、やけどをした時は流水で冷やすと言う事は私も耳学問で知っていましたが、それを裏付けるような現実に出会いました。 体調が悪かった時にうどんをゆでて、私が金網のざるを持っていてそこにゆでたうどんをあけてもらうように夫に頼みましたら、火からおろしたばかりのうどんが私の手全体にかかってしまったのです。 うどんを茹でた熱湯を手にもろにかけられたが流水で冷やしただけで事なきを得た そこは水道の前でしたので、すぐに水栓を押し、どうなることかと思い ...
頚椎症性脊髄症の手術後の手のしびれは手根管症候群のようだった
頚椎症性脊髄症の手術後2年の検診は3月にレントゲン検査をして問題がなくとてもきれいに脊髄液が流れているということでした。 手術前から、手指のしびれは残る可能性があるということでしたので、肩こりと手指のしびれが残っていることの違和感は感じていたようですが頚椎から来ているしびれだと思っていたようです。 しかし、3月の検診以後に右手の親指から中指までの3本のしびれが強くなったようで、夫のイライラ感がつのってきました。 自分でネット検索をした結果、手根管症候群の症状と同じだと言います。 考えてみれば、最初の症状が ...
『大聖堂』レイモンド・カーヴァ|著 村上春樹訳-最高の短篇集
レイモンド・カーヴァーの作品を読むにあたって、レイモンド・カーヴァーのことを書いてあるいくつかの文章を読みました。 そのあとに読んだ短編集は『愛について語るときに我々の語ること』で、『大聖堂』が2冊目の短編集です。 50歳で肺がんにより亡くなっていますので、本格的に小説を書いたのはそれほど長い期間ではなかったようですが、それらの作品の多くは自らの体験によって紡ぎだされた生きることの切なさ、悲しさ、温かさをさりげなく伝えています。 『愛について語るときに我々の語ること』の短編集では、最後に読み手がポンと投げ ...
『愛について語るときに我々の語ること』レイモンド・カーヴァー著 村上春樹訳
私はレイモンド・カーヴァーを知ったのも最近のことで、『愛について語るときに我々の語ること』が最初に読んだ本です。 村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』のあとがきに、レイモンド・カーヴァーの『愛について語るときに我々の語ること』のタイトルの原型として使わせてもらったということが書いてありました。 その時、『走ることについて語るときに僕の語ること』は私が今まで読んだエッセイのタイトルとはかなり違っているとの思いでだったことの謎が解けたように思いました。 しかし、その時はまだすぐにレイモンド・カ ...
忍び寄る老後破産 団塊の世代に迫るリスクーNHKスペシャル
著作者:rexboggs5 NHKスペシャル「忍び寄る老後破産 団塊の世代に迫るリスク 親の介護と子への支援」を放映するということを知り、他人ごとではない世代の私は見ることにしていました。 私たちの上の世代と言ってもかなり上になりますが、まだ銀行金利の高かったころは、退職金や老後資金として貯蓄した預貯金に金利が付いたために年金以外に利子収入もあり、それなりに生活ができていたようです。 しかし現在は、大卒後普通に定年まで勤めた人の、厚生年金の金額はやっと生活できるだけの金額にしかなりません。 かなり前に大き ...
『幸せになる勇気』岸見一郎 古賀史健|アドラー心理学実践
『幸せになる勇気』は『嫌われる勇気』の続編であり、アドラー心理学のより実践的な内容を書いています。 私は『嫌われる勇気』も発売当時に読んでいますが、『嫌われる勇気』よりも実践的である『幸せになる勇気』の方を難しいと感じました。 文章は読みやすく難しいところはないのですが、現在の私がいざ実践しようと思った時にとてもできないのではないかということです。 『幸せになる勇気』はアドラー心理学を少しわかった段階、『嫌われる勇気』を読んでからの方が理解しやすいのではないかと思いました。 『嫌われる勇気』でアドラーの思 ...
『明暗』夏目漱石 著|人間のエゴイズムを書いた未完の小説
数冊の夏目漱石の作品を読んできたが、『明暗』は病没のため最後の小説となってしまった未完の作品です 今までに読んだ数冊の小説も近代文学を代表する作品であり、私の好きな作品でしたが『明暗』はそれまでの作品とは違った印象をもって読み始まました。 夫婦のありようを男性の眼と女性の眼から書かれており、それぞれにお互い対する不満やぎこちなさをお互いの目から述べて、その駆け引きは今に通じるものがあり心持ちの古さが感じられないと思いながら読みました。 名作と言われる作品は人間の奥深い心を探っているため、時代を超えても私た ...
『それから』夏目漱石著|時間の経過とともに変化する心を描いた名作
数十年前の若いころに夏目漱石の小説を数冊読んでいて、かなり間を置いた近頃に『こころ』『門』『それから』と後から書いたものから読み始めています。 若かった時にはほとんどあらすじを読んでいたため、現在の読後感とは違っていたように思います。 しかし、今回読み始めた夏目漱石の小説にはかなり感動して次から次にと読みたくなってしまう不思議な魅力を感じています。 『三四郎』『それから』『門』を前期三部作と言われているようですが、私は『門』を先に読みその後に『それから」を読むことになりました。 前期三部作の最後から読み、 ...