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本・読書感想

『真珠夫人』菊池寛著|柳原白蓮がモデルと言われる

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真珠夫人

菊池寛の「真珠夫人」は柳原白蓮がモデルになているということから是非読んでみたいと思って読み始めました。

柳原白蓮こと燁子は親子ほども年齢差のある九州の炭鉱王・伊藤伝右衛門のところに嫁ぎ、幸せとは言えないまでも社交界ににデビューして別府の別荘で社交にふけっていたころ、菊池寛も尋ねたようです。

燁子がモデルと言っても、真珠夫人は私が読んだ林真理子の「白蓮れんれん」の燁子とはかなり違っていますから、美しい燁子を見て稿を練って書かれたものなのでしょう。

実業家と収入のない華族という時代背景は当時の実情だったようで、そのための悲劇であることは燁子と「真珠夫人」の主人公瑠璃子と重なりところがあります。

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身は処女でありながら男性をもてあそぶようになった瑠璃子(真珠夫人)の物語

「真珠夫人」は菊池寛の今の直木賞のような大衆小説であり、ベストセラーにもなり映画やテレビドラマに何度もなったかなり有名な物語です。

私は題名は知っていましたが、初めて読む本で映画もテレビドラマも見たことが無いので、無垢な気持ちで読み進めることができました。

話はこの小説の狂言回しのような渥美信一郎が瑠璃子に心をもてあそばれて心中を考えている青年青木淳と温泉に行く車で同乗することから始まります。

その車が強引な運転手の不手際で事故を起こし、瀕死の傷を負った青木淳に運転手が医師と警官を迎えに行っているうちに遺言のように手帳を捨ててほしいと言われ、瑠璃子に時計を返してくれとたのまれます。

青木淳は青木男爵の長男で、青山葬儀場で葬儀が行われると新聞で知った渥美信一郎は遺言のように頼まれた時計の持ち主を探すべく葬儀に参列して、荘田瑠璃子という美しい女性の存在を知りその帰りに時計を渡してきました。

親子ほどに年の違う荘田勝平に嫁ぎ、未亡人となった後豊富な財力と美貌で男を弄ぶ妖婦のようにふるまっている瑠璃子には深いわけがあったのです。

貿易商として財力を得た荘田勝平が知名人を招いて園遊会をしていた場所で、瑠璃子の恋人で華族の杉野子爵の息子の杉野直也が成金である荘田勝平を軽蔑するようなことを言って勝平の怒りを買ったことが始まりです。

荘田勝平の財力の恩恵を受けていた杉野子爵は息子の恋人である唐沢光徳男爵の娘である瑠璃子に仲人として唐沢家を訪ね、勝平の妻にと言ってくる始末です。

瑠璃子が、杉野子爵の息子杉野直也の恋人であること知りませんが、荘田の金力に動かされての行動でした。

断られると清貧で借金の多い瑠璃子の父の債権をすべて買い占めた荘田勝平は金力を利用して、法律的にも唐沢光徳男爵を追い詰められてしまい自殺をも考えてしまう父でした。

そんなあくどい勝平のもとに瑠璃子は、操を守り切ると約束して嫁ぐことにしたのです。

父の病を口実にしたり、交際期間がなかったことから、妻になるのを待ってほしいと懇願したり、知的障害のある息子に寝室の番を頼んだりして処女を守り通していたのです。

そのような中で葉山に行っていた嵐の中であわやというときに勝平の息子が飛び込んできて、酒に酔っていた勝平は心臓まひのために亡くなってしまうのです。

そのいまわの時に勝平は金の力でどうにもならないことを知ったことを告げ、息子と娘の壮田美奈子を託して息を引き取ります。

その後、美奈子を母か妹のようにかわいがり、自分が男性を集めて操っているサロンには近づけませんでした。

渥美信一郎をもサロンのなかに引き入れましたが、信一郎から亡くなった青木淳の弟の青木稔だけはたぶらかさないようにと言われると反発するように誘い込み、壮田美奈子と一緒の避暑の熱海まで連れていきます。

そこで青木稔に美奈子がひそかに思いを寄せていることを知り、青木稔の思いをはねつけることになりますが青木稔の怒りで逆上しでしまているところに、出会った渥美信一郎から兄の青木淳は瑠璃子のために自殺したようなものだと聞かされ、その夜瑠璃子を刺して、自分は自殺してしまいます。

瑠璃子は男性が女性の心ばかりでなく、体までをも金の力で支配しているのに、女性が男性の心をもてあそんで何が悪いかという言葉に、渥美信一郎は心打たれながらも青木稔だけは除外してほしいと頼んだのは聞き入れてもらえまえなかったことを心配していたのですが、火に油を注ぐような結果になてしまいました。

しかし瑠璃子は壮田美奈子の初恋の心を知って驚くとともに取り返しのつかない気持ちになっていて、青木稔の気持ちを考える余裕もなく会っていました。

その夜の明けやらぬ暗闇に寝ていた瑠璃子をを怒りに燃えた青木稔が襲ったんです。

刺された瑠璃子は恋人だった杉野直也にも連絡をしてくれと美奈子に頼むのでした。

瑠璃子との仲を引き裂かれたと知り壮田邸に乗り込み発砲事件をおこした杉野直也はボルネオに行っていたが、神戸にいるということからずっと思い続けていたのでしょう。

ようやく間に合った直也に独りぼっちになった壮田美奈子のことを頼んだのでした。

そして、美奈子が母の身辺を肌襦袢を片づけていた時にそこに縫い付けてあった直也の学生服の色あせた写真を見つけて、直也ともども泣き崩れるのでした。

瑠璃子は嫁したのちも、男たちをたぶらかしていた時も奥深く清らかな心と体を持ち続けていたのでした。

そして、最後の散歩のときも男の心をもてあそんでいたと思っていたが、一番大切な美奈子の心を傷つけてしまったことを後悔していたのでした。

二科展に展覧された「真珠夫人」題した真珠のごとき美貌を持った夫人の立ち姿の肖像画は、唐沢光一が書いたもので、美術評論家たちの讃辞をあびたとのことです。

大正時代に男性がしても良いことを女性がしてはいけないという規範を美貌と知性で立ち向かっていく勇敢な心を描いていますが、それが過ぎた時に 女性がしたことであれ、男性がしたことであれ刃は自分に向かってくるということも思わされました。

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