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『雨天炎天』ギリシャ・トルコ辺境紀行 村上春樹著

この本は平成2年に8月に新潮社より刊行されたというから25年以上も前の紀行文になります。

私が読んだ本は平成23年12月15日 31刷と書いてある新潮文庫なのでかなり多くの方に読まれた本のようです。

誰かがどこかでこの本が面白いと書いてあったので、今頃村上春樹の本を読み始めた私が手にして読んでみようと思ったわけです。

25年も前ですから私も若かったのですが、村上春樹も若い時期でありかなり冒険に満ちた体験記になっています。

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ギリシャ編-神様のリアル・ワールド

アトス半島はギリシャ正教の聖地であり、ギリシャの国内にありながらも完全な自治を政府から認められているという世界でも珍しい地のようです。

アトスには修道院が20個くらいあり2000人くらいの僧が宗教的真理と至福に到達すべく修行を積んでいる場所であり、女は誰一人いないし、犬も猫も雄しかいないような地なので男でも観光客として入るのが難しいといいます。

そして滞在期間は3泊4日と決められている中を半島の峻険な海沿いに立つ修道院をめぐるべくやって来た村上春樹と編集者とカメラマンの3人の旅というよりは険しい岩登りの様子を書いています。

道に迷いながら険しい山道を歩き、道を間違えたり、船が着く場所を間違えたり、船着き場に着いた時には船が出た後だったりで、滞在期間ンをオーバーしてしまうのだがそのようなことは問題にならなかったようです。

思いどうりに行かず、ひどい食事(カビの映えた固いパンをふやかして食べるなど)その偶発的な出来事が何とも、村上春樹の文章からはおかしみさえ感じることが出来るのです。

村上春樹のすごいところは読んでいるとあたかも自分が経験しているような錯覚に陥るほど作者をひきつける文章であることです。

一寸先も見えない土砂降りの雨の中を歩いて、たどり着いた修道院の宿泊所では食べる固いパン、ところによってはカビの生えたパンをふやかして出してくれるが、それしかないのだからどんなものでも食べるしかないという現実を読む者の心をひきつけながら書いているから、自分がその場にいるかのような思いで読み続けてしまうのです。

絶対に行くことがないだろう修道院の様子をあたかも見たかのような気持ちで読んでいるのは、これが書かれた25年前くらいは私も山登りをしていて、天候が悪そうなときには出かけないようにしていたのだが、山の天候の変わりやすさ故、秋山で吹雪に遭ったり、夏山で土砂降りに遭ったりしたことダブって考えるからかもしれません。

日本の山はどんなに険しかろうと私が登ったような山は人が連なって歩いており、狭い頂上は人であふれていて立つ場所もないくらいだったのですが。

何はともあれ追体験のような感じで読むことになったギリシャ正教の修道院を尋ねる旅は感動的としか言いようがありませんでした

今現在も修行僧たちは粗末な食べ物と険しい道と言えない岩ばかりの地で宗教的真理を求めて修行をしているのだろうその姿が目に見えるようです。

トルコ編ーチャイと兵隊と羊ー21日間トルコ1周

村上春樹とカメラマンの松村君はギリシャ側からマツダのパジェロの大型車で重装備でトルコを時計回りに回るのだがそこは日本などと違って、その地ごとに人々の生活や考え方もかなり違っているいるようです。

クルド人問題が起きていた時期で、イラン国境からイラク国境近くを通るのですから何とも空恐ろしい旅であるのですが、トルコ人はどこも大丈夫だとし言わない国民のようで新聞も読んでいなかった二人は恐ろしいとも思わずにそこに入っていったのだからすごいとしか言いようがありません。

でも最終的にその辺が一番面白かったようですが、2度と行きたくないと書いてあるのは読んでいてうなずけるものがあります。

そのくらい村上春樹という人の文章はリアルなのです。

日本人でもトルコ旅行を楽しむ人が行く、イスタンブールやその他の世界遺産の旅とは全く違った旅なのです。

トルコの国境付近をを21日かけて回るのですが」、そこは位置している場所によってあらゆるものが異なっていて、トルコの多様さを私たちに体験させてくれるのです。

私は行くことのないだろう厳しい旅を追体験できたことをとても幸せだと思いました。

そのような方が多いことがこの本が読み継がれているゆえんなのだろうと思いました。


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